【銀魂】闇に酔う悪魔

許されない ページ39

ー土方サイドー






(ーーー落とし前は、つけなきゃならねェ)




その付け方に、目処など立っていないが
あいつにばかり全てを押し付けるのは卑怯だろう。



ポカリと空いた隣の席を眺め、紫煙を吐き出す。


・・以前、俺の隈を指摘したあいつの方が
今日は目元を黒く染めていた。寝ていないのか。
それは仕事のせいか、はたまた別件か。









「ーーー先、越されちまったな」




利口な女だとは思っていたが、改めて感じる。

俺がここ数日悩んでいた事柄について、
あの女にかかればバレバレだったということだ。


・・全てに真っ当な理由をつけてしまえば、それは
道理の通った行動になる。先手を打ったのは
Aの方だった。






(・・別料金、か)




俺のくだらねェ建前が、こんな形で利用されるとは
思わなんだ。

あのキスに、後腐れのない意味を持たせた。






「・・・まあ、それで全て良したァならねーがな」




いくら建前を重ねても、やっちまったことは
灰になることはない。奥底ではわかっているのだ。

逃げられるわけじゃねェ。




ーーーそれに、







「女にばっか格好つけさせるなんざ、
おかしなことじゃねーか」





あいつの去っていく後ろ姿は、たくましく、
またどこか悲しくもあった。

後悔、迷い、そんなマイナスの感情があいつの中を
常に渦巻いているのだとしたら____、

その原因の一端を担う俺が、引き下がるわけには
いかない。




あの女が、人知れず一人で散っていく。
そんなことは許されねェだろう。

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