【銀魂】闇に酔う悪魔

至難の技 ページ15

ー土方サイドー





手の内にあるのは、ちょうど明後日の計画書。
大友総二郎は、2日後に仲間を集め密会を開くという
情報が入っている。

少人数制というところも含め、その慎重さから、
これまで警察の目から逃げ切っていることにも
納得せざるを得ないだろう。




(ーーー厄介な相手だったが)



Aのおかげで思ったよりもずっと早く
片が付きそうだ。こりゃ覚悟していた徹夜も
なくなるんじゃねーか。久々の安眠ってやつだ。


一服しようと、伸びをして立ち上がる。
部屋の障子を開ければ、冬の寒さと昼の鋭い日光が
同時に肌を刺した。



タバコを一本。ライターで火をつけた。
何気ない、いつもと同じそれ。

・・・あの女が火をつけたタバコとは
少し違う気がした。






「ーーーお、物好きが1人」




からかうような声色が響いた。
「おうトシ！」と、無駄に元気な声も。






「・・・仕事はどうしたんだ、テメェら」

「やだな、今日は非番でさァ」

「俺は休憩！」



そういやそうか、と。
現れた私服の総悟と、こっちは隊服に身を包んだ
近藤さんに納得する。



「こんな寒ィ中、外で一服ですかィ。
シンプルに馬鹿ですよねそのまま凍え死ね」

「こんくれェで寒ィとか言ってんじゃねーぞ。
シンプルに貧弱だなそっちが凍え死ね」



喋れば、紫煙と見分けがつかねェほどに
白い吐息。3人分のそれが、目の前を濁した。







「つかトシお前！なんだそのツラ！
スッゲェ隈だぞ」


「・・隈？」

「あーあー、これだから社畜は。また夜中起きて
筆走らせてたんでさァ」





そういやぁ、今日は明け方に帰ったんだった。
その割にはまったく眠気が起きず、結局そのまま
仕事に入ったのだった。






「それにあんた・・、なんか臭いますぜ」

「ッ、何だよ気持ち悪ィ！」



顔をしかめて自身の鼻を摘んだ総悟は
「何でィこれ、香水？」と。




(・・"香水"？)




あっ、と思った時にはもう遅い。
風呂に入っておくべきだった。

Aのいる部屋はそうでもねーが、
まずあの店自体に、甘ったるい匂いが染み付いて
いるんだ。少しばかり残るのは必然だろう。








「・・確かに、言われてみれば少し臭うな。
トシ、お前香水なんかつけてたか」


「・・あー、アレだ。デパートで」

「デパート？」








・・・・あぁだめだ。




近藤さんは騙せても、総悟の奴を騙すのは
至難の技だ。

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