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複雑な気分 ページ41

はぁ、と小さく息をついた夜。濡れた髪にドライヤーを当てることには、相変わらず慣れない。

近づけすぎれば暑いし、遠すぎれば乾かない。
この絶妙なバランスというか。








(ーーー女中にさせていたことだもの、)




艶やかだった髪は、心なしか傷んでしまった気が
する。・・だがおかしなことに、それがやけに
落ち着くのだ。


ふわりとシャンプーの匂いを漂わせ、
やっと、髪が完全に乾ききった。

ドライヤーの音がやむとともに、
入れ替わりのように聞こえた声。







「ーーー・・入りますぜ」





それが、聞き慣れたその人の声だとわかり
びくりと体を揺らす。平静を装っているようで、
「どうぞ」と返事をした私の声は、
語尾が小さく震えた。


先刻の会話もあり、少し気まずい。


静かに開いた障子。顔をのぞかせた沖田は、
私を見つけ、向かい合うように腰掛けた。







「こんな時間に女性の部屋を訪ねてくるなんて、
一体何の用かしら?」


「・・・・ま、そう言いなさんな。
一つ報告があるんでさァ」





沖田からは、心なしか、普段の余裕を感じない。
いつもまっすぐな赤い瞳は、
どこか遠くを見つめているように思えた。







「どうにも、あんたの旦那を殺した犯人の目処が
たったらしいですぜ。まだ証拠は不十分みてェですが、近いうちに準備は整うってことでィ」


「え?」

「つまり、あんたはもうすぐ、晴れて下民生活とも
おさらばってことでさァ。よかったな」






あっけらかんと告げられた言葉に、
ドクン、と一つ、私の心臓を動かした。


ーーーあぁ、そうか。長政様を殺した犯人が
割り出せたのだ。これで警察庁は、
逮捕に踏み切れる。

そうすれば、私が沖田に護衛を頼む理由はなくなり
ここにいる必要もない。






「どうしました?」


「・・いいえ。ーーそう、わかったわ。
ようやくこの不便な生活から抜け出せるのね」



「あり、結構気に入ってた様に見えましたが」

「・・まあ、悪くはなかったけれど」





望んでいたことなのに、今はなんだか、
複雑な気分なのだ。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , ツンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございました!日々の箸休めにでもなっていれば嬉しいです!どうぞ、これからもよろしくお願いします! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!キャラが濃い夢主ちゃんを書くのが好きみたいです!笑。頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願い致します! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!真選組は四苦八苦しておりますよ!きっと沖田くんならなんとかしてくれます!笑。頑張ります! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 由梨さん» いつも読んでくださり、ありがとうございます!最後まで楽しんでいただけるような作品を目指します! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!行き当たりばったりな私ですが、どうぞ温かく見守ってくださると幸いです! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年11月20日 23時

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