検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:98,792 hit

本来 ページ40

ー沖田サイドー







『何もつけなくて構わないわ』



結局、その一言以降、
そいつが口を開くことはなく。

気づけば、屯所にたどり着いていた。


ちらりと俺を振り返り、迷ったように再び
前をむいたそいつは、やはり何一つ発することなく
部屋へと帰っていった。







「ーーー聞いてんのか、総悟」


「聞いてません」
「素直かテメェ。腹切れ」




今現在は、土方が俺の部屋を訪れているわけだが
こんな奴の話には、残念ながら興味がない。


ーーそれより、気になるのは女の方だ。





(・・やけに自分の肩書きについて気にしてる
みてーだったが)




歌舞伎町で、何やら感じたことがあったのだろう。
あの奔放な街で暮らす人間たちを見て。

自分の暮らしに疑問を抱いたのかもしれない。


ーーいや、本来そういう奴なのだ、きっと。
お嬢様なんて器に収まりきるような女じゃねェ。

あいつは、きっと広く駆け回りたいのだ。


これまで知らなかった開放感を味わったために、
奥底に眠っていた本心というものが顔を出しつつ
あるのかもしれなかった。


半ば上の空の俺に構うことなく、土方さんは
口を開いた。





「明江長政を殺害した犯人を突き止めたそうだ」


「・・・は?」

「まあまだ証拠が揃ってねェからな。
今すぐしょっぴくってわけにゃいかねーだろうが」





「よかったな、ようやく護衛から解放されるぞ」と
付け足した土方さんに、何か返す余裕は、とっくに
俺の中から消え失せていた。




(・・そろそろ、お嬢様に戻るってか)





窮屈に感じてしまうのではないか。

外の世界を知り、自分の育ってきたものが
制限を受けているとわかった今のあいつが、
今まで通り過ごせるのだろうか




(まあ、)


俺にそんなことは微塵も関係ない。

俺はただ、任された任務として、あの女を
護衛していたに過ぎない。結局、その心配も杞憂に 終わったわけではあるが。





土方が吐き出すくゆる紫煙の白も、匂いも、
今は珍しく気にならなかった。







「滝峰A本人にも伝えてやるといい。
そろそろ荷物まとめとけってな」


「・・・そうですねィ」




ただひたすらに、年甲斐もなく無邪気に外を駆ける
あの女の姿を思い返していた。

複雑な気分→←呼び名



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (109 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
192人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , ツンデレ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございました!日々の箸休めにでもなっていれば嬉しいです!どうぞ、これからもよろしくお願いします! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!キャラが濃い夢主ちゃんを書くのが好きみたいです!笑。頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願い致します! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!真選組は四苦八苦しておりますよ!きっと沖田くんならなんとかしてくれます!笑。頑張ります! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 由梨さん» いつも読んでくださり、ありがとうございます!最後まで楽しんでいただけるような作品を目指します! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!行き当たりばったりな私ですが、どうぞ温かく見守ってくださると幸いです! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年11月20日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。