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無茶無茶 ページ20

ー沖田サイドー



帰路をたどる俺たちが、横に並ぶことはない。
この女が俺の前を歩くのは、下民と方を並べたくないとかなんとかそういう理由なんだろうが、

その反面____、






(ーーー結局、何かしら抱えてるってのァパンピーと
同じっつーわけかィ)




夫のこと、自分の決められた人生のレール、
そうして、今の状況。

金持ちの奴らは何不自由なく暮らしてるもんだと
勝手に思い込んでいたが、それが間違いだと気づく







「ねえ沖田、」

「・・何ですかィ」



そう思えば、こいつが無駄に気丈なのも頷ける。
凛とした調子に戻ったAサマは、「寒い」と
一言だけこぼした。





「まあ、・・そうですねィ」

「違うわ。私は別に感覚を共有したいわけでは
ないの。ーー何とかしなさいと言っているのよ」

「・・・・・また無茶苦茶言ってんねィ」




寒いから何とかしろとは一体どういうことか。
ホッカイロでも差し出せというのか。
残念ながらホッカイロどころか、暖かい飲み物も
調達できそうにない。





「なぜ朝より昼の方が寒くなるの?道理に反する。
許せないわね」

「どんな道理ですかィ。・・あぁ、そういや、
今朝の天気予報で寒波がどうのっつってたな」

「何ですって・・?」





俺たちは同時に上を見上げる。

確かに雲行きは怪しく、さっきまで晴れ渡っていた
青空は、白く染まっていた。Aサマの顔も同様に
歪んで暗くなっていく。




「屯所まですぐですぜ。我慢してくだせーよ」

「私が寒いと言ったら寒いのよ」




確かに、その細い体は細かく震えていた。
着物の裾から出た白い腕が、体を抱きしめるように
交差している。

文句が溢れる合間にも、ひゅるりと冷たい風が
吹きぬける。






「ーーーったく、」




寒くて動けないわ、なんて言われてしまえば、
迷惑千万。早いとこ屯所に連れ帰ってしまおう。

渋々、俺は制服の上着を脱いだ。
突如襲ってきたシャツ越しに伝わる寒さに
身震いをこらえながら、それを女に突き出した。






「ほれ」

「・・あなた、寒くないの?」


「寒くねーわけねェでしょ。あんたがうるせェから
さっさと黙らせちまいたかっただけでィ」



目を丸くして、Aサマは上着と俺の顔を
交互に見た後、恐る恐る手を伸ばす。





「・・下民の男が着ていたものなど信用に値しないけれど、今そんなことを言っている暇はないわね」

「追い剥ぎに遭ってしまえ」




その高価な着物、剥がされてしまえ。

真っ黒→←憂深く



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , ツンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございました!日々の箸休めにでもなっていれば嬉しいです!どうぞ、これからもよろしくお願いします! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます!キャラが濃い夢主ちゃんを書くのが好きみたいです!笑。頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願い致します! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!真選組は四苦八苦しておりますよ!きっと沖田くんならなんとかしてくれます!笑。頑張ります! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 由梨さん» いつも読んでくださり、ありがとうございます!最後まで楽しんでいただけるような作品を目指します! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!行き当たりばったりな私ですが、どうぞ温かく見守ってくださると幸いです! (2017年12月9日 0時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年11月20日 23時

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