お願い ページ13
パイプ椅子に腰掛けた私の目の前で、頬杖をつくお巡りさんは、大きくあくびをかましていた。
取り調べというからに、もっと緊張感のある現場を
想像していたが。なんだか拍子抜けだ。
こう、刑事ドラマみたいにカツ丼出てきたりとか
卓上ランプで顔照らされたりとか。
まあ不審者とされるのは不本意だが
正直、少しワクワクしていたのだ。
「ーーー探偵っつったか」
「名探偵(予定)です」
「どこに住んでる」
「あの公園の近くですね」
「年収は」
「探偵業で70万越えればいい方ですね」
ありゃ、意外と普通に進むんだなぁ。
やはり現実とテレビは異なると言うことか。
画面の向こうはかっこよく作られているのだ。
なんたって名探偵コ◯ンだってそうだもの。
探偵って実際はあんなド派手に推理したりしない。
「・・あらかたの事情はこの前聞いたから省く。
よって取り調べはこれで終わりでィ」
「え、終わり?」
あっさりだ。そりゃ私は正真正銘の無罪だけれど、
やけにさらっと解放されてしまう。
唖然とする私に構うことなく、その人は椅子から
立ち上がり背伸びしている。・・・・しまった。
言い負かしてやろうと思っていたのに。
「テメェが売れねェ探偵だっつーことは
よくわかった。うまく嘘つけるタイプでもなさそう
だし、奇行は目立つが害はねェと判断した」
「奇行?」
「蟻の観察。もう通報されたくなけりゃ早急に
やめることをお勧めするぜィ」
出ていいぜ、と、重そうな鉄扉が開けられた。
つまり、私の潔白が正式に認められたということか
なんだか釈然としないまま彼のそばに行けば、
だるそうな動作で手錠を外された。
「何でィ、その不満そうなツラは。衣食住揃ってる
たァ言っても、服役なんざするもんじゃねーぞ」
「何を言います・・!私は探偵ですよ!?
服役なんてごめんです!」
「そいつァ失礼した。なんせ最近多いもんでねィ。
地下牢に安住を求めて犯罪おかす不届き者が」
「成る程。警察は警察で大変ということですね」
何という格差社会。警察は仕事があって、
探偵である私には仕事がない。
似たり寄ったりの職についていながら、これはちと
理不尽では______、
「ーーーあ!」
「・・今度は何でィ」
「あなたにお願いがあったんです!」
ぽんと手を打った私を気味悪そうに見下ろすお巡りさんに、そっと手を差し出した。
「お友達になりましょ!」
「・・・は?」
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シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!私の好きなタイプの主人公です!笑。迷宮入りしないように見守ってくださると嬉しいです! (2017年10月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!かなり無理矢理感のあるギャグになってしまいましたが、頑張ります!よろしくお願い致します! (2017年10月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 染井芳野さん» ありがとうございます!嬉しいです!最後まで楽しんでいただけると幸いです! (2017年10月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 戦胡蝶さん» ありがとうございます!私結構、蟻好きです!笑。つたない部分も多いですが、お付き合いいただければ嬉しいです! (2017年10月14日 10時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 新作おめでとうございます!事件を担当したら、迷宮入りにしてしまいそうな夢主ちゃんですね笑 私好みの夢主ちゃんです笑 更新頑張って下さい!! (2017年9月30日 0時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年9月28日 22時