【銀魂】衝突必須の求愛物語

許容 ページ36

本気、あれが、奴の本気か。





「ま、せいぜい翻弄されてヨ」と、無責任な
言葉だけを残し、去っていった団長。

再び一人となった部屋で、私は呆然と、
彼が出て行った扉を見つめていた。






「・・・ハァ、」




背中を本棚に預け、ずるずると滑り落ちた。
頭を抱え、うつむいた視線の先には、
あいつの襲来によって散らばった資料が
転がっていて。





「ばかだ、私」




拒絶どころか、ーー嫌じゃ、なかったなんて。


大嫌いだったのに。嫌いで嫌いで仕方なかった
だって、野蛮に殺生ばっかり繰り返している。
それを楽しんでいるのだ、あいつは。

そんな世界に生きているから、彼は常に、
私の苦手な血の臭いを漂わせて____、





ーーー・・あれ？







(・・・血の、臭い)




しなかった。






・・・そういえば、さっき近づかれた時、
団長から血の臭いを感じなかった。






「ッ、ーーは？どういうこと？」




まとわりついて仕方なかった臭い。
大嫌いな臭い。ーーの、はずだったのに。








「・・・わかんない、」




髪のひと房が、無造作に私の目の前で揺れた。

最近、いろんなことがありすぎて、
・・そろそろ頭はキャパオーバーだ。



そのすべてに団長が関わっているということに
悔しさをおぼえた。ーー副団長の言う通りだ。

常に、私の頭の中には彼がいる。





・・・いつのまに、私はこんなにもほだされて
しまったのだろうか。いつの間に私は、
彼を許容してしまったのだろうか。

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