跳ねる気分 ページ30
ー神威サイドー
仕事終わりに訪ねた部屋では、ーー医者に診てもらった時より、幾分か穏やかな表情に戻った
Aが眠っていた。
呼吸も落ち着いているし、汗も引いていた
「ーーへぇ、薬って本当に効くンだ」
ベッド近くの机には、食後に飲んだのだろう。
二箇所が空になった薬の束を見つけた。
病気や体調不良とは縁がない俺は、薬の類を 使ったことがない。こんな小さくて丸い個体が
今Aの体を整えているのだ。
ーーと、再びAへと視線を戻したとき
「ん、」と。小さな唸り。それが彼女のもので
あることは明白だった。ーーあぁまずい。
起こしてしまったようだ。今度こそ怒られる。
「ーーー・・み、水」
が、俺に届いた言葉は、すべての覚悟と予想を
覆すものだった。
額で既にぬるくなった手ぬぐいを押さえ、
もう片方の手で近くを探っている。
目は少し開いていたが、どうやらいまだ夢見心地らしい。目の前の俺の存在に気づかないらしいAは、懲りず水を求めているようで。
「水、だね」
仕方なく、部屋に設置されている簡易冷蔵庫を
開けたのだった。水の入ったペットボトルは
すぐに目に入った。テキトーなガラスコップに
注いでやり、動かされる手にそっと当てはめた
「ーーーどーぞ」
「・・・・・ん、ありがと」
その声も、どこか虚ろで、芯がなくて。
本調子じゃないんだろうな、まだ。
俺を目の前にしても、「不法侵入」だとか何とか声を荒げることすらしないのだから。
ごくりごくり。二口水を流し込み、喉を鳴らしたAは、ーーふぅ、と小さく息を吐いた。
そのまま、再び布団に潜り込んでしまい。
「・・・A?」
次に俺が覗いた時には、既に寝息を立てていた
「・・ありがとう、か」
そんなこと、こいつから言われたことなんて
これまでなかったものだから、なんだか
むず痒い気がしてならない。
ーーー同時に、なぜか跳ねるような気分だった
明日になったら、きっと元の可愛げのない女に
戻ってるんだろーな、なんて。
寝顔に一つ「おやすみ」と挨拶を残し、
おれは部屋を後にした。
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シュシュ☆☆(プロフ) - ミリアさん» ありがとうございます!リクエスト、大変ありがたいのですが、申しわけありません…コラボ作品は専門外なのです…。ご期待にお応えできず申しわけありません…よろしければ銀魂作品、楽しんでいただけると嬉しいです (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - fuさん» いつもありがとうございます!ここから盛り上げていけるよう頑張ります! (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 戦胡蝶さん» ありがとうございます!きっとデレンデレンになってくれる…はずです!頑張ります!気長にお付き合いいただけると嬉しいです! (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 夜神さん» あわわ…!本当ですか!ありがとうございます!心配していましたが、ご期待に応えられていれば嬉しいですっ!ぜひ養ってください!笑 (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!夢主ちゃんのドライな部分、うまく溶かしていきたいですね!足を運んでいただき、ありがとうございます! (2017年8月27日 19時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年8月16日 12時