【銀魂】衝突必須の求愛物語

精神すら筋肉 ページ16

「ったくよぉ、寝過ごすのも大概にしろよ団長。そんなにイイ夢見てたのかよ」

「それは一理あるかもネ」




やってきた副団長により救われた私は、
歩くたびにゆれる2人のマントを後ろで眺めていた。ーーと、その時、突然こちらを
振り返ったらしい団長とパチリと目があった。


咄嗟に睨みつけ距離を取ったのだが、
彼はそんな私を面白がるように目を細めていて





「ーー何たって、Aが出てきたンだから」

「次出したら出演料支払ってもらいますから」





我ながらくだらない会話だ。
これから重要な会議が開かれるとは思えない
空気感である。さすがバカ兎。






「それにしても、上の老ぼれたちも懲りないネ
俺たちにいくら釘さしたって無駄だってのに」

「ほぉ、これから向かう先が会議と銘打った
お叱り場だってのは理解できてんのか。
成長したな団長」


「大体、第七師団の長は俺だ。自分の組織を
好き勝手して何が悪いのさ」

「つっても限度ってもんがあるだろーが。
・・・毎度毎度、暴れすぎだとよ」




副団長もこれでは報われない。
何たって、こうやって団長に対する上からの
指摘は幾百回となく受けてきた。

ーーーまあそれが引き金となって四方八方から
敵が増えてるわけなんだし。





「なぁA、お前も思うだろ？押さえつけられた状態で暴れるなんて気持ち悪い。やるなら
徹底的に自分が満足いくまで拳を振るうンだ」


「・・さて、私は戦闘バカではないので
計り兼ねますけど。一つ言えることとしては、
あなたの脳に反省の2文字はないんですね」



「よくわかってるじゃないか」

「えぇ、反省すらできない無能だということ
なら重々わかってますよ」

「はは、ずいぶんな言われようだ」




脳筋どころじゃない。精神すらも筋肉に
変えられたのだろうか、この男は。


うりさばく商品にするはずだった星の掃討を
請け負った時、ーー暴れすぎたせいで売り物に
ならなくなったなんていう事例は、
一度や二度ではない。その後始末は、もちろん
副団長がつける。






「・・・副団長も大変なようで」

「お互い苦労するねぇ」




けれど、この組織にいる以上、
私たちはのんきなヘラリ面に付き合うしか
ないのだろう。

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