【銀魂】ラ ブ コ メ 脳

寸劇の結末 ページ7

ただいまー、と声が聞こえ、戸が開かれたのがわかる。ああ、帰ってきやがった。


ソファに座る神楽と新八は、最早こちらに助け舟を出すつもりはなさそうだ。俺が用意した
料理に対し「銀さん、美味しいですよ」と一言
気休め程度に慰めを入れてくるだけ。







「・・ただいま！ごめんね遅くなって」



時計を見れば、午後8時。こいつの勤め先の
閉店時間は午後4時である。
どこでそんなに時間を潰してきたのやら。





「ーー帰ったかA。・・飯できてっから」

「えぇ！？すごい！銀時が作ってくれるなんて
珍しいじゃん！・・私のために？」


「・・サアナ」



そもそもお前が頼んできたんだろうが。
・・何だこの下手くそな寸劇は。

ツッコミどころなど溢れんばかりであるが、
新八はここ最近、瞬時にご飯をかきこみ、
ツッコミたい欲を制御する技を身につけていた



こいつが今、求めているのは、
同棲中のシチュエーション。普段は冷たく
不器用な彼氏が、仕事で疲れた彼女のために
夕飯を用意し、何気ない様子でそれを伝える。
実は彼が自分を大切にしていることが垣間見えたことに、彼女はジンとする、というものだ。

・・・悲しいことに、こいつが求めるこんな
細かな設定まで見抜けるようになった俺は、
一体何者なのか。


心底楽しそうに浸っているAを見てしまえば、面倒だと感じながらもまあいいかと
思えてしまう。我ながら甘い。







「ーーはい、つーわけで！とっとと食え！」

「ありがと銀時！」




パン、と手を叩けば、Aはすんなり理想の
世界から戻ってくる。ハニャリと頬を綻ばせ、
ーー俺にぎゅっと抱きついた。






(・・・あぁ、これは多分、)




頭を撫でてやれば、満足したようだ。
ーービンゴ。





(・・・わかりやすい奴)




おとなしく席に座り、箸を握ったそいつに、
こちらもクスリと笑みを漏らした。

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