【銀魂】ラ ブ コ メ 脳

似ても似つかないー夢主サイドー ページ6

店に入れば、古い紙の匂いが私の鼻を刺激する。無造作に本棚に立てかけてある本の種類は
雑誌から小説、漫画本まで多岐にわたる。

棚で仕切られた道を進み、ーーその奥にある
部屋に声を張って話しかけた。





「ウメさんおはよー！」



ウメさんとは、この古本屋の店長だ。
最近は腰の調子が悪く、部屋の奥にこもりっぱなしだが、本人は割と元気である。

奥からガサゴソと物音が聞こえ、ーーやがて、





「・・誰じゃあ？お前」

「矢継Aです！毎朝自己紹介いしてるんだからいい加減覚えてくださいよ！」

「おぉ。Aかえ。おはよう」



少しボケてるところもあるけれど、優しくて
素敵なおばあちゃんである。その返事に満足し
私はいつものように仕事に移る。



ーーーまあ、仕事といっても、






「・・・今日は何読もうかな」




この街はずれでは、お客さんといえば専ら、
立ち読み目当ての常連がポツポツくる程度だ。本を売りたいと大量に持ち込んでくれる人は
いるんだけれど、買うお客さんがいないのでは
この古本屋も赤字続きと言っていいだろう。


ーーまあそんなこんなで、私もレジ横の椅子に
腰掛けて、商品を読み漁るのが日課であった。


私が好むのは、ラブコメ漫画、ラブコメ小説。
こんな素敵な恋ができるなんて、きっと漫画の
中のヒロインは最高にハッピーなんだろうな。




「いいなぁ、」



私のめくったページには、優しげにヒロインの
頭を撫でたイケメンが、額に控えめなキスを
落としているシーンが描かれていた。




こんな恋が、いつかはしてみたい。
ーーそう考えて生きてきて、たどり着いたのは
坂田銀時という男であった。





「・・・ま、彼にそんなこと求めてもなぁ」



鼻をほじり、ソファにふんぞりかえって
ジャンプを愛読する彼に、ラブコメ要素は
似合わない。ーーそれはわかってる、けど





(・・・でも、ラブコメするなら銀時がいい)




何でだっけ。私は何で彼に恋したんだっけ。
考えたってわからなかった。いつの間にか
好きになってて、いつの間にか告白してて、

ーーいつの間にか、隣にいたんだもの。



銀時は、この漫画にでてくるイケメンとは
似ても似つかないけれど、ーーでも、ふわふわ
した銀髪も、いざとなったら真っ直ぐ輝くあの
赤い瞳も、上手いセリフを紡ぐ憎たらしい口も
大好きなのだ。仕方ないじゃん。





「ーーんで、何だかんだラブコメに付き合って
くれるあたりとか！」



好きだ。

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