【銀魂】ラ ブ コ メ 脳

仕掛けられてる ページ36

古本屋を覗いて二時間。
俺はAより一足先に、帰宅していた。



「なあ新八、」

「なんですか？」


「ーーA、最近おかしくね？」





テレビの中の結野アナを拝みながら、
ずず、と一つお茶をすする。向かいに座る新八は、テレビから目を離すことなく、「どういうことです？」と。




「何かこう、・・仕掛けてくるっつーか」

「仕掛けてくる？」




新八の手の中でひたすら揺れる団扇を
何となく眺めながら、ここ数日の出来事を
思い出していた。




ーーー第一に、先日の風呂上がり事件。

あの時のAのしてやったりな表情は、
今思えば、少しわざとらしかった気がしなくも
ないのだ。

ーーー第二に、今日の不意打ちのキス。

あいつからキスされたことなど、これまでに
一度もなかった。・・ましてや、あんな人目に
つきそうなところで。


加えて、これまでになかった色気を醸し出して
いるのだからたまったもんじゃない。
俺は振り回されてばかりだ。





が、どうやら新八には心当たりはないようで
首をかしげ、机の隅に追いやられたAの
漫画の山を一瞥した。




「別に普通じゃないですか？」


「いや、漫画読む量の話じゃねーんだけど」

「考えすぎですよ」



あくまで、他人事である。
そのメガネは一体何のためにかけているのか。
全然周りの変化に気づけてねーじゃん。
役立たずメガネコノヤロー。






「・・まあ、旅行も取りやめになりましたし、
少し仕返しでもしてやろうって考えられても
文句は言えませんよ、銀さん」

「なっ、取りやめたのはあいつの意思だぞ」




お茶を飲み干した俺は、団扇でひと扇ぎ。
手動で送られる生暖かな風にのせて、
はーぁ、とため息を漏らした。

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