【銀魂】ラ ブ コ メ 脳

初めて見たー夢主サイドー ページ19

再びシンと静まり返った店内。
去っていく後ろ姿を思い出し、ーーサッと血の気が引いた。






「え、・・ちょっと待って。銀時怒ってなかった？ねえ！」

「あーあーうるせェな」



沖田さんの肩をガクガクとゆすれば、心底面倒くさそうに手のひらを突き出し私を制した。




「いいか、今回の件は俺のせいじゃねェぜ。
あんたが空気を読まなかったってのが原因だ」


「え？・・私何かしちゃったの？」

「あそこで俺を見たのはまずかったねィ。
旦那は今頃カンカンかもな」


「カンカン！？」





じわりと滲んできた涙で、沖田さんの顔が揺れる。ーーその先で彼の眉が明らかにひそまった

あ、これ絶対うざいと思われてる。・・いや、
別にこの人にそう思われようがどーでもいい。
今の問題はそんな些細なものじゃない。





「私、銀時と喧嘩なんてしたことないし・・
どうやって話し合ったらいいんだろう、」

「よかったじゃねーか。お望みだったんだろィ
ケンカップル」

「こういう形で望んでいたわけじゃないの！」



というか、ケンカップルを求めていたわけじゃ
ないのだ。たまには衝突も必要なのかな？と
思ってただけで！

ーーそれに、・・私には銀時が怒った理由が
わからない。沖田さんはわかってるようだけど
この様子だと教えてくれそうにない。


ずんと沈んだ私に構いもせず、彼はその時
着信を告げた携帯を耳に当てていて。






「・・どうしよう」


「喧嘩したことねェカップルの初喧嘩は
そのまま破局に繋がるって話ですぜィ」

「何でわざわざ追い打ちかけるの！？」


「ーーーんじゃ、土方の野郎に呼び出されちまったんで、俺ァこの辺で」

「・・・え！？」



鑑定ありがとうございやした、と。
千円札をひらひらと振りながら、沖田さんは
無情にも、私を置いて店を出て行ったのだ。




残された私は、勢いよくレジ机につっぷした。

沖田さんから買い取った、アレな本を下敷きに
していることすら気にならず。






(ーーー初めて見た。銀時のあんな顔)




複雑そうな表情。ぎゅっと歯を食いしばって
眉を吊り上げて、・・それでいて悲しそうな
色を瞳に浮かべていた。





「・・・けんかって、」





こんなに悲しくて苦しいんだ。
なら、ーーケンカップルになんてなりたくない

ぐずっと鼻をすすり、私は自身の腕の中に
顔を埋めたのだった。

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