【銀魂】静かにしてくれませんか。

まだおもちゃ ページ39

ー沖田サイドー




(ーーー気に食わねェ)




そんな考えが浮かんで、俺がその女の腕を
掴むのにあまり時間はかからなかった。

気がつけばネオンに包まれた夜の街であり
右手には、未だ掴んだままのそいつの腕から
伝わる体温が感じられた。







「ちょっと沖田さん、・・セクハラは
あなたでしょ。いつまで握ってんの」


「握ってねェし、セクハラでもねェ。
連行だっつったでしょ」

「そりゃ何か？職権乱用ってやつ？」





はじめに口を開いたのはAさんの方だった

呆れ口調にはいつもの覇気がなく、
慣れない場にいたことで元気も生命力も
吸い取られてしまったのか、とテキトーな考えが浮かんできた。







「ーーー職権乱用じゃねーや。警官侮辱罪及び
虚言罪でさァ」

「パンピーを侮辱してんのはそっちでしょ」

「こちとらチクられて傷心してんです」
「知るか」




なんとか言い訳を紡ぐ。
ーー何が悲しくて、"旦那と一緒にいることが
気に食わねェ"なんつークサイことを
暴露しなきゃならねーんだ。

密かに眉をしかめた俺に、次は憎たらしい声が
聞こえてきた。







「ーーー用は済んだか、総悟。そろそろ仕事に
戻るぞ。テメェもまだ終わってねーだろ」




紫煙を燻らすその野郎に集まる女共の視線に、
どうかその男を焼き殺してくれと願いたい。

対抗するようにあくびを漏らせば、案の定
ぴきりとこめかみを鳴らした土方さん。






「だとさ沖田さん。仕事もどって、市民の安全と安住を守ってくれる？破壊なしで。
何より私の安眠も」


「最後のは守りかねまさァ。あんたに嫌がらせすんのがマイブームなもんで」



言い切ればAさんは眉を寄せた後、
ターゲットを土方さんに移しており。





「・・・ちょっと、あなた沖田さんの上司なんですよね？どうにかしてくださいまます？」


「・・・そのうち飽きるだろ」
「ちょっと本当何なのこの警察共」





旦那に対して抱いた感情に、嫉妬なんつーモンが乗っていたことは、考える間もなくわかった

ーーただ、ムカムカと湧き上がってくるそれに
従って行動しただけで。



とはいえ、これが厄介な感情によるものかと
言われればそうではなさそうだ。







("まだ"、ーーおもちゃだ)




掴んだままの手に力を込めて、
俺は小さくため息をついたのだった。

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