アルバイト ページ22
「ーー随分と久々だねェ、」
「最近、ひどいモンスターへのクレーム処理に
追われてやして。忙しかったんでさァ」
「へぇ。そりゃ大変だな」
一言、二言。ついでに三言、ーー客人とオヤジさんの会話が終わる前に、私は絶望という
漢字を頭に思い浮かべていた。
背中に流れるものは、冷や汗以外の何物でも
ないようで。客席に背中を見せたまま、硬直。
ーーが、
「・・あり?そいつは?」
こちらの存在を認知したらしいその人の視線。
さらに硬直する体。
「ーーーあ、そうだ!新人のアルバイト雇ったんだ!・・あんた常連として贔屓にしてもらってるし、一応紹介しとくよ」
「へー、・・アルバイト、ねェ」
背後から聞こえるあきらかに面白がっている
様子のその声に、ますます振り向けなくなる。
確実に気づかれた。気づかれたよこれ。
どうやってごまかそうかと思考を巡らす私。
・・けれど事情を知らないオヤジさんには
そんな私の動揺など伝わるはずもなく。
「Aちゃん?何してんだいガチガチに固まっちまって。恥ずかしがり屋さんだなあ」
「・・へー、Aさんっつーのかィ」
ーーーあ、もうごまかせない。名前がばれた。
おまけに野郎のニヤケが口調に表れてる。
「・・私の不運とは一体どこまで続くのか」
越した家のそばに、騒音青年がいて。
やっと手に入れた職場がよりによってその青年の行きつけだったと。
ーー何これ狙ってるの神様
「ーー沖田さんはうちのお得意さんなんだ。
顔くれェ覚えときなさい」
「・・・ああもう逃げられなくなった」
ついに相手の名前を出されてしまい、私の中の
そいつと、今背後で怪しげに微笑んでいるだろう常連客が正確に一致した。
逃げ道は、完全に絶たれてしまった
「Aちゃん?今日はどうしちまったんだい
やっぱ照れてる?」
「・・・・違います」
「なら挨拶しときな。ハンサムだよ沖田さんは」とか何とか呑気に付け足した。
「ーーー・・初メマシテ」
自分の運命に強烈な殺意を芽生えさせながら、
案の定、心底楽しそうに意地悪い笑みを浮かべ
こちらを伺うそいつ、ーー真選組の沖田さんの
方を向いた。
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ヤリマン - 耳栓すればよくね? (2021年3月31日 20時) (レス) id: 5160686bc8 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!私の拙い文章をそこまで褒めてくださって…嬉しい限りですっ!私の自己満足のような小説ですが、楽しんでいただけると嬉しいです! (2017年3月20日 10時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - シュシュさんの小説が一番大好きです!キャラクターの口調や性格をよく捉えていて、言葉遣いも巧みでいつも楽しみにしています!上から目線ですみません…>_<これからもずっと応援してます! (2017年3月20日 4時) (レス) id: cb24aca9f8 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 染井芳野さん» 誠に申し訳ありません…!私の管理不足でございます。これからは、このようなことがないよう注意いたします。ご指摘、本当にありがとうございます。 (2017年3月13日 12時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
染井芳野(プロフ) - ミミさん» コメント欄でのチャットは、他の読者の迷惑になるのでCOMMUなどの利用をするべきだと思います。 (2017年3月13日 12時) (レス) id: 235460ef5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年3月1日 14時