【銀魂】晴れのち煙

後ろ髪 ページ10

ー土方サイドー




偶然出くわしたそいつが帰路を辿る後ろ姿に
眼を細める。職業病というやつか。
近頃は、勘ぐり深くなっていけねェ。・・だが






(・・ーーー妙にクセェ)



第一印象から、胡散臭さは拭えなかったが、
・・先ほど二度目の対面を終えて、ますます
疑惑は増すばかりだ。

何が、というにはまだ確証がなさすぎるが、
いわゆる、警察の勘というやつである。



見た目で言えば上玉と表現するにふさわしい
容姿。俺に負けず劣らずのヘビースモーカーらしく、そいつの使った灰皿には、あの短時間で
3本の吸殻が見て取れた。



ーーー問題は、・・言動、か。





「"実践も心得てる"ってのァ、一体・・」





俺の話に特にリアクションはなかった。

・・いや、元々リアクションもトークも
薄そうな女だが、そういう意味ではなく。







(ーーー動じなかった、)





全くもって、俺の話に対して小さな動揺も
なかった。ーー暴漢事件の話を出した時も。

全てが静かで、隙がねェ。まるで歴戦の侍だ。




・・一つ、紫煙が宙を舞う。再度浮かべてみた
女の顔は、特に疑惑を明確にする参考には
ならなかった。






「ーーーまあ、俺にゃ知ったこっちゃねェ」



あの女がどんだけあやしかろうと、
俺の忠告を無視して暴漢に囲まれても。

仕事も忙しくなってきた今の時期、女1人に
右往左往している余裕はねェってこった



なぜか、・・どこか後ろ髪を引かれる思いを
その女に残しつつ、区切りをつけるように
まだ吸いかけのタバコを灰皿に押し付け、
立ち上がった。

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