【銀魂】晴れのち煙

胸が熱い ページ41

目の前に差し出された一本のオアシス



「・・・トッシーは神様だったの？」

「何言ってんだお前」


「トップ ゴッド トッシー」
「おいいいッ、変なニックネーム付けんな！」




神様ありがとう。その柄の悪い眼光も、
今は私を照らす暖かい後光だ。


実を言うと、タバコが切れたのは昨日。
ーーつまり、私のニコチン摂取は1日ぶりだ




「生き返る・・」



煙に満たされた肺が黒く染まっていくのを
感じるが、そんなことはどうでもいい。

吐き出した紫煙を愛おしく思う。





「ったく、ーー逆によく今までタバコなんざ
買ってこれたもんだ」


「・・バイトしてる」

「は！？バイト？お前が！？」




それはいささか失礼な反応ではないだろうか。
私だって、タバコのためならばバイトくらいする。皿洗いでも何でも。

一応万事屋の従業員だが、あんなブラック企業で真面目に働くなんて、いつタバコが買えるか
わかったもんじゃないし。






「・・・知り合いの店で」

「まあ、真面目に働くのァいいこったよ」




時たま臨時、日払い。かなり弾むのだ。
これは完全に新八のツテというやつだが。





「ーーーこの前、・・悪かったな」



本当に銀時とかいう社長はダメ人間だ。
実は給料なしで居候許可をもらったのだが、
お小遣いくらいくれてもいいと思うのだ私は。

ーーと、旧友への愚痴を募らせていた時、
聞こえてきたのは、身に覚えのない謝罪。




「・・・何が」

「野郎に変な勘違いされたろ。完全に俺の
注意不足だ」


「あぁ、あの時のことか」




不思議だな。ちょっと前に、銀時が真選組に
乗り込んだことについて私が謝ったばかりなのに、ーー次はまるで逆だ。





「散々探られた」

「・・・だろうな」


「平和的な暴力で解決した」
「暴力に平和的なんつージャンルはねェ」

「心配ない。銀時だから」

「・・そうかよ」




少し呆れた様子で納得してくれたトッシー。
あれは平和的だ。断固として。
だって理屈が通ってる。銀時が悪い。





「ーーータバコ、ありがとね」

「あぁ」




私を気にかけてくれたことに、・・今ほんの少しだけ、胸が熱い。

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