【銀魂】晴れのち煙

嬉しいやら寂しいやら ページ27

そんなこと聞いてどうすんだよ、との答え。




「・・人にはいろいろ聞いといて」
「ほとんどちゃんと答えてねーだろお前」



そうだっけか。もう忘れた。
何たって過去は振り返らないタイプだから。





「別にあなたの故郷に興味はない」

「じゃあ何で聞いたんだよ」

「私だけ尋問されるのは不公平」
「どんな理由だ！？」




そんなの、本当にただの取り調べだ。
これじゃまるで犯罪者。違う私は善良な市民だ

私のとの会話に疲れたとでも言うように
盛大に紫煙を吐き出したトッシー。
その中には確実にため息も混じってる。





「・・武州っつー田舎だ」


「ぶしゅう・・」





おうむ返しにしてみたが、口に馴染まない。
きっと平和だったんだろうな。







(ーーーなるほど、私達とは真逆の道を歩んで
きたってわけか)




今でこそ刀を振るう戦場のプロなんだろうけど
その武州とやらにいた頃は竹刀を握っていたに
違いない。真剣ではなく、竹刀。







「・・・そろそろ、帰る」

「自由すぎだろ、お前」



文脈も場の流れもクソもねーな、と。
だからそんなもの読み取る能力はないってば。

・・ーー全くもう、









(ーーー嬉しいような、寂しいような)





まだ半分残ったタバコを灰皿に押し付けた。
力なく最後の煙が一筋線を描いたのを見送り
席を立つ。・・今日は一つ分しか距離が
なかったせいか、声が近かったな、なんて。





(・・・ほんと、)




この人といると不思議な感覚になる。




トッシーについて知れた。ーーけど、私とは
少し世界が違う。それは、無職と公務員なんて
そういう差じゃなくて。もっと決定的なもの。


・・それがわかってしまえば、ーー少し寂しい
気がするのだ。

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