【銀魂】晴れのち煙

通じ合えば ページ25

「ーー毎回毎回唐突すぎんだよ、テメェは」

「意味が通じ合えば万事OK」
「通じてねーからいってんだろーが！！」



まじでか。

通じてなかったのかまさか。
これまで何度となく会話を交わした中で、
この人に伝わったことはないと。





「・・・ニックネーム」

「は？」
「あなたの呼び名」


「ーーー・・はぁ、」




また文章構成云々について言いたいのか。
それならば諦めてほしい。

もうこの歳で直そうなんてのは無理だ。


どうやら吸い終えたらしい彼の眼の前にある
灰皿からは、小さな煙が立ち上る。





「ニックネームなんつーコミカルなもんが、
俺にあると思うか」

「思わない」

「・・・なら聞くな」




なんだろう？とうしろうだから、とうちゃん？
いやそれは安直か。ならなんだ。ーーーあ、





「・・・・トッシー」
「てめっ、なぜそれを・・ッ！？」

「え、何」



しまった、とでも言いたげに顔をしかめた
トッシーことひじかたとうしろう。

どうやら地雷というか、彼のトラウマまがいの
何かに触れてしまった様子。

その人は深く俯いてしまった。






「・・何かあったの？」
「いいや何もねェあってたまるか」




気を紛らわすように乱暴に紫煙を撒き散らした
トッシーに、首をかしげる。何やらかなりの
トラウマらしい。私としては話して欲しいが、
この人に説得など無意味だろう。なんたって
銀時と張るほどの強情者だ。


諦めて、私も紫煙をひとはき。
ーーでもまあ、呼び名は決まった。





「これからはトッシーで」
「さっきの俺の反応をみての所業かそりゃ」

「いや、言いやすいし」


「・・・何なんだお前」




「つか何で俺のフルネーム知ってんの」「銀時が」、なんて会話を交わし終わり。

大方私からトッシーへの用事は済んだので
そろそろ銀時のお昼寝タイムだな、とか
新八のメガネとは何なのか、とか
そんなくだらないことばかりを考えていれば





「ーーーそういやお前、いつから万事屋に
いるんだ」

「・・・さあ、いつからだろう」




そんな質問。・・んー、いつだろうか。
気づけば1ヶ月、2ヶ月と経過して。

20代を超えたあたりから、あまり日にちや曜日を気にしなくなった私としては、すでに何ヶ月前なのかわからなくなった。




「・・不本意なことに、野郎とは同じ場に
居合すことが多い。ーーだが、新しい記憶にも
チャイナ娘とメガネ以外に見覚えはねェ」




そう言われれば、私が来たのは
本当に最近なんだと気づく。

興味のありか→←私は何者

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す