"素人" ページ14
「・・・・警察っぽい人」
「本物の警察だナメてんのか」
聞き覚えのある声。ーーもちろん、その主にも
心当たりがあった。
彼は喫煙所の扉付近に体をもたれさせ、
前にも増して眼光を鋭く細めていた。
「ったく、だから言わんこっちゃねェ。忠告を
聞かねーからだ。・・と、言いてーとこだが
確かに心配は無用だったみてェだな」
「・・・あなたが言ってたの、この人たちか」
開け放った扉の向こうから吹き込む冷えた夜風に黒髪を揺らしながら、床で伸びた男どもを一瞥し、次に再度こちらに視線をむけた。
「どうやら、只の町娘じゃねーらしいなお前。
ーーーさっきの動きは素人のモンじゃねェ」
"素人"とは何に対していうものなのか。
喧嘩か、ーーそれとも、
(・・・戦場か)
懐から取り出したタバコは、ここに来るまでに
少し冷気にやられたらしい。何とか小さく灯った火を救いに、煙を吐き出した。その人の質問には、はなから答える気はなく。
その代わりに、「ーーで、」と。
「・・・まさかストーカー?」
「どっからそういう話になった」
そりゃもちろん、この人がなぜここにいるのか
という話である。私の後でも尾けていたのではないだろうか。どうやら、私が男どもを
KOする時点から見ていたようだし。
「違ェ。・・・こちとら夜間の見廻りだ。
テメェみてーな危なっかしい女どもが、
暴漢事件の被害に遭わねーように、ここら一帯を見回ってんだよ」
「私は危なくない」
「・・・それがたった今わかったところだ」
怪しむ目は変わらず。ーーいやむしろひどくなっている気がする。まったく、近頃の警察は。
善良な一般市民を犯罪者扱いか。
そんな思いを込めて軽蔑していれば、
彼は三人衆の手首に手錠を飾り、どうしたことか、パイプ椅子に腰を下ろした。
「・・・・何してるの。サボり?」
「ーーー暴漢事件は恐らくこれで解決だ。
これから書類報告だ何だに振り回されんだよ。
今のうちに一服とっとくのも悪かねーだろ」
ふーん、とだけ返して、つられるように
私もニコチン摂取を試みる。
ーーー喫煙所には、何日ぶりかの他人の紫煙。
2人分のそれが混ざり合い、消える。
「ーーーお前、」
「ん、」
「・・・いや、」
何でもねェ、と。
覚悟していた追求も特になく、その人は静かに一本吸い終えた後、部下に電話を入れた。
513人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シュシュ☆☆(プロフ) - rinさん» ありがとうございます!楽しんでいただける作品になっていたら光栄です!返信遅れてしまい申し訳ありません!これからも頑張ります! (2017年2月21日 11時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
rin(プロフ) - いつも楽しみに読まして頂いてます!これからも応援してます!頑張ってください! (2017年2月6日 0時) (レス) id: ca02d9a1b7 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 謎さん» ありがとうございます!あくまで、私の予想図、という形で描かせていただきます。少々お待ちいただければと思います! (2017年2月5日 10時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
謎 - いきなりリクエストすいまんせん(´Д`) (2017年2月5日 0時) (レス) id: 7fba721a26 (このIDを非表示/違反報告)
謎 - 主人公のイメージ画像を書いてほしいです (2017年2月5日 0時) (レス) id: 7fba721a26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シュシュ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月27日 14時