【銀魂】常に10分前行動を心がけるべし

まともに働く姿は ページ38

ゆっくりと目を開けた先に見えたのは、
ーー大きな、背中で。

・・いや、男にしては小柄なはずなのだけれど
そいつの存在感というか絶対的な強さというか


いつも通り、・・問答無用で私の不安を
ねじ伏せてしまう、その男の背中。






「ーーーそう、ご」

「らしくねェ。女みてーな姿見せやがって」
「・・私もともと女だよ」



軽々と敵を斬り伏せながらも、
こちらに向けての悪態は、忘れないようだ。
この戦場でそんな軽口が叩けるのは、やはり
隊内最強を謳われるこいつにしかできない所業であろう。








「ーーーもう少しでィ。ふんばれ、ゴリラ」

「ッ、・・・黙れっての腐れ外道！！」






その声が、優しく聞こえたのは、
私の幻聴なのかもしれない。ーーだから、

ーーー・・一瞬跳ね上がった私の鼓動も、
きっと気のせいだ





ふっ、と溢れた笑みを最後に、私の反省期間は
幕を閉じる。ーーこっからは、






「・・・反撃だ野郎どもコルァァア！！」




立ち上がりついでに1人をばっさり。
私がチンタラやっているうちに、多数が片付いていたらしい。形勢は依然こちらが有利。

ついでに、「やっぱゴリラじゃねーか」とかなんとかいう失礼な野郎も一緒に斬り殺して
いいですか。








(・・・参っちゃうな、もう)




総悟に助けられてしまうなんて。

今までの戦でもこうして、さらりとピンチの仲間を助けてきたのだろうか。いつもと変わらぬ
憎まれ口を叩きながら。・・あぁもう、


ちゃらんぽらんで、サボり魔で、
生粋のサディストのくせに、









(ーーーーーちょっと、かっこいいじゃん)






血飛沫の舞う中、綺麗な構えから繰り出される
数々の技は、見惚れてしまうほどに美しい。

認めざるを、得ないのか。
こいつもまともに働くことがあるんだと。







(・・・憎いねぇ、コノヤロー)




ーーーこの討ち入りが、その後"成功"して
幕を閉じるまで、総悟の表情が崩れることは
なかった。

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