あの時と ページ37
あちこちで響く鉄同士の衝突音。
切れかけの電球のぶら下がった廃旅館では、
周囲の状況がわかりにくい。
目をこらしながら、指示を飛ばす。
「ーーーはあッ、・・多いなぁ、もう」
戦状況としては、私たちに優勢だ。
練りに練った私の作戦も活きている。
・・だがしかし、一番の問題は_____
腕時計を一瞥し、小さく息をつく。
(このペースじゃ、延長だな、)
また1人、私の振るう刀に引っかかる。
確かな手応えを感じつつ、今の状況を整理しようと、辺りを見渡した。・・と、
「ーーー女、テメェが司令塔だな!?」
「ッ、な・・!?」
・・斬り伏せたはずのその男が、荒い息を
つきながら立ち上がったのだ。
背後に感じた殺意とともに、私の頭上に
振り上げられた刃が、ギラリと光るのを感じた
「隙だらけだコルァァア!!!」
「ッ、うるせーっての!」
応戦しようと刀を持ち直し、踏ん張ろうとした
その時、・・ーーーずるり。
足元を掬われ、視界が小さく反転したのだ。
(ーーーッ、まずい)
私に斬りつけられた傷が赤く線を描いた体。
荒く肩で息をしながら、不敵に微笑んだその男
振り上げたままのその刀が、ーー私の脳天めがけて、一気に振り下ろされた。
・・すべてが、スローモーションに見えて。
あぁ、油断した。これじゃあ、結局______
(・・・結局、前と同じだ)
同じ失敗はするまいと、誓ったではないか。
また私は、腕時計に気を取られて____
(ーーー・・羽織も、返してないのに)
私はこのまま斬られてしまって。司令塔を
失った真選組は少しの乱れを見せて___、いや
そうだ。ここには副長もいるし、総悟もいるし
・・意外と大丈夫かもしれない。
時間は守ってほしいな、なんて。
いわゆる現実逃避。
自分が死ぬ瞬間というのは、思ったより
呆気ない。・・そういえば、警察庁時代に失敗したあの時も、後悔や反省は後で湧いてきて、斬られる瞬間は呆気なかったな、と。
なるほど、これが走馬灯というやつか。
ーーーぎゅっと、目をつむった。
.
「ーーー何やってんでィ、テメェは」
数秒後にやってきたのは、痛みでも衝撃でもなく、・・全く予想だにしなかったもの。
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シュシュ☆☆(プロフ) - 沖田 星蘭さん» ありがとうございます…!自己満足のような作品で申し訳ないですが…いっしょに楽しんでいただけると嬉しいです! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
沖田 星蘭(プロフ) - 遅くなりましたがあけましておめでとうございます!!今年もシュシュ様の作品楽しみに1日を頑張りたいです笑 今回もめっちゃ面白そうだし、沖田オチなのでめっちゃ嬉しすぎてテンションマックスです!!笑 これからもずっと応援してます!!(`∇´)ノ (2017年1月4日 10時) (レス) id: 88b850887c (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» あああありがとうございます!!ご期待に応えられるようにがんばります!私も沖田さん大好きなので妄想全開でがんばります!どうぞ気長に付き合いいただけると嬉しいです (2017年1月3日 20時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 手刀さん» 過去作品まで読んでくださり、本当にありがとうございます!嬉しいです!私の作品はいつも自己満足なんですが、皆様に楽しんでいただけると幸いです!がんばります! (2017年1月3日 20時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!私は15分前には準備しちゃうタイプなので夢主ちゃんと通じるところがあるかもしれません!あ、切腹はさせません!最後まで楽しんでいただければと思います! (2017年1月3日 20時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月2日 0時