【銀魂】常に10分前行動を心がけるべし

"知りたい" ページ31

ー沖田サイドー


(ーー案の定、ってわけか)


参ったように苦笑したそいつはやはり、
何か抱えているらしい。・・怯えているらしい




「そこまで総悟が私を気にしてくれるように
なるなんて、どんな風の吹き回し？」


「気にしてねェ。・・テメェの様子が、この先
討ち入りを迎えるにしちゃ不適切だからねィ。先輩として一喝入れてやろうかと思ってな」



土方に放った言葉と同じものを理由づけとして
述べる。そいつはフッと吹き出したのち、
横に垂れた髪を一房かきあげた。




「・・それを気にしてるっていうんだろーが。
素直じゃないね、総悟」

「自意識過剰でィ」



言葉にいつもの芯と覇気がない。
それだけで、俺以外にも察してる輩はいたはずである。ーーただ、どいつもこいつも
触らぬ神に祟りなしといったところか。

・・いや、"宇都宮Aが悩むはずがない"と
いう大前提を完成させちまった、こいつの普段
見せる強さのせいか。


ーーーまあ何にせよ、こうして声をかけたのは
俺が最初だったらしい。





「・・で、全部ゲロする心算はできたか」


「人を犯罪者みたいに言うなっての」

「やってることは取り調べと変わんねーしな」



こいつが何に怯えているのか。
ーーおそらく、討ち入りで間違いない。

ならばなぜ？何に怯えているのか。






(ーー知りてェ、)




他人事になど興味はない。ーーはずなのに。
・・らしくねェことは百も承知だ。

ただ、腹が立つことに、目の前にいるそいつに
俺は懸命になっている。







「ーーーお前は一体、何に怯えてる？」



改めて紡いだそれは、・・目の前の女にとって
脅しにでも聞こえたのだろうか。

崩れ落ちた苦笑と強さ。
情けなく眉が下を向き、唇はきゅっと結ばれた






「・・・お前、絶対笑うじゃん」


「内容によっちゃァ、爆笑するな」

「あーもう、ほらあ！！やっぱりね！馬鹿者！
出てけ変態夜這い野郎！」


「誤解が混ざってる」




少しこいつらしさが戻ってきたじゃねーか、と
悪質極まりない俺への悪口が奏でられることに
少しの安堵を感じつつ。

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