【銀魂】常に10分前行動を心がけるべし

どこの心理学者だ ページ30

「ーーー・・ハァ、」



今日何度目かのため息をついた私。
時計を見れば、そろそろ就寝の時間である。






(・・2日後、か)



無論、例の討ち入りが、である。
大丈夫だと思っていたけれど、やはりいざとなると萎縮してしまう。私の臆病さには困ったものだ。自然と浮かんた苦笑は溢れるままに。





「ーー邪魔するぜィ」

「・・おかえりください」


「邪魔するぜィ」
「聞いてないな、この野郎は」



"おかえりください"を相殺しやがった。
しかも女性の部屋にノックもナシかコラ。

しかしながら追い返すなんて選択肢は真っ先に
消えた。こいつには無効だからだ。


目的を果たすまで帰ってくれないのは
目に見えているし。・・ーー就寝の時間まで
あと15分程度か。ギリギリ、まだいけるかな。

横目で腕時計を確認し、次に前に座る
総悟を見据える。




「・・で、何か？」

「ちと聞きてーことがあってな」




静かな中に、どこか真剣味を隠し持ったそいつ
の口調はいつもと違い、何やら奇妙だ。
違和感を感じつつも、「聞きたいことって？」
と、先を促せば。









「ーーーお前ェ、何に怯えてんでィ」

「・・・は？」




紡がれた言葉は、私の目を点にするには
十分すぎるインパクト。おまけに素っ頓狂な
声まで飛び出した。何を、言ってるんだろうか
この男は。ーーーいや、けど、






(・・おびえてる、か)




大雑把な推測だけれども、それでもどこか、
図星を突かれたような感覚。・・どきり、と
嫌な跳ね上がりを見せる心臓。

考えないように、記憶の底に止めるように。
そうしてきたはずなのに、・・フラッシュバックするのは、きっと過去のこと。






「・・ふざけんなバカ。怯えてない」


「ふざけてんのはどっちだ。討ち入りのは詳細が決まってから、わかりやすいように挙動不審じゃねーか。一番隊隊長の目を誤魔化せると
思ってんじゃねーぞアバズレ」

「アバズレじゃねーよ！！」




おかしい。・・私は断じて挙動不審などでは
ない。表には出していなかったはずだ、何も。







(ーーー・・まさか、気づかれたっての？)





目の前に座る、このテキトーサボリ魔に？






「・・・私はいたって通常運転」
「誤魔化せねーっつってんでィ」



ツラ見りゃわかる、なんて。
表情や言葉の覇気なんかでわかっちゃうのかな

ーーーまったく、こいつはどこの心理学者だ。

"知りたい"→←首を突っ込む

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す