嫌なこと ページ28
「ーーっ、ふう、」
竹刀が、風をきる。
思えば、仕事に熱中しすぎて自主稽古なんて
久々だ。・・討ち入りが間近に迫った今、少しくらいは鈍った体を立て直すべきだろう。
愛用の腕時計を時折確認しながら、少し休憩と
ばかりに竹刀を下ろした。袖を額にあてがえば
拭いきれなかった汗が溢れて、頬を伝う。
「・・大丈夫かなァ、」
私はあくまで作戦の見守り人。
バリバリゴリゴリ戦闘に参加するわけではない
ーーが、安全かといえば首を傾げるしかない。
いや、ぶっちゃけ不安全だ。
(・・それでも、自分の身は、自分で守る)
どうせでも人数の不利な状況下、足手まといに
なるなんてことは決して許されないわけで。
女であろうが何であろうが、だ。
それに、私のせいで計画が遅れたらまた____
.
「ーーー随分気張ってるじゃねーかィ。
さすがのAも、やっぱ初陣は緊張するか」
「ッ、びっくりした・・」
突然聞こえた声で、我に返る
いつの間にやらきていたらしい総悟が、
入り口の柱に身をもたれさせていた。
その姿に、竹刀がセットされてるところを
見るに、こいつも稽古をしに来たらしい。
ーーーあぁ、よかった。いいタイミングで
きてくれた。・・そう思った。
「・・別に気張ってるわけじゃないから。
これも、スムーズに計画を進めるため」
「現場じゃ計画通りにことが進まねーのが
セオリーだぜィ」
「・・・ッ、私がどれだけ熟考して練った作戦だと思ってんの?心配ご無用。・・それに、
厳密に言うと私、戦闘は初めてじゃないから」
「ほお、それは一体どういうことで?」
そういや、詳しく素性を話したことは
なかったな。
真選組隊士としては初陣だけども、私は元々
警察庁で策士として力を振るっていたのだ。
剣を握りしめ、現場で指示を飛ばした経験だって浅くはない。ーーと、そこで、
(・・・ッ、嫌なこと思い出した)
まったく、年月が傷を癒してくれるなんて
言うけれど、いつまで待てばいいのやら。
「お前ェ____ 」
「はいッ、もう話はおしまい!時間ないから
仕事戻るね」
触れられたくないことというのは、誰の中にも
あるわけで。・・何やら言いかけたらしき総悟は、その本能的な鋭さで私の"何か"を見抜いて
しまったのだろうか。
逃げる様にその場を後にした私は、背に残る
そいつの目線に、気づかぬふりをした。
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シュシュ☆☆(プロフ) - 沖田 星蘭さん» ありがとうございます…!自己満足のような作品で申し訳ないですが…いっしょに楽しんでいただけると嬉しいです! (2017年1月4日 17時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
沖田 星蘭(プロフ) - 遅くなりましたがあけましておめでとうございます!!今年もシュシュ様の作品楽しみに1日を頑張りたいです笑 今回もめっちゃ面白そうだし、沖田オチなのでめっちゃ嬉しすぎてテンションマックスです!!笑 これからもずっと応援してます!!(`∇´)ノ (2017年1月4日 10時) (レス) id: 88b850887c (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» あああありがとうございます!!ご期待に応えられるようにがんばります!私も沖田さん大好きなので妄想全開でがんばります!どうぞ気長に付き合いいただけると嬉しいです (2017年1月3日 20時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 手刀さん» 過去作品まで読んでくださり、本当にありがとうございます!嬉しいです!私の作品はいつも自己満足なんですが、皆様に楽しんでいただけると幸いです!がんばります! (2017年1月3日 20時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます!私は15分前には準備しちゃうタイプなので夢主ちゃんと通じるところがあるかもしれません!あ、切腹はさせません!最後まで楽しんでいただければと思います! (2017年1月3日 20時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月2日 0時