【銀魂】常に10分前行動を心がけるべし

末期じゃない ページ22

「ーーおい、機嫌直すかどっか行くかどっちかにしてくんねーかィ」


何て言葉が隣から降ってきたのは、
真選組備え付けの食堂での話である。




「・・うるせー黙ってろ腐れ外道」

「こちとらいつその箸で目を突かれるかって
ヒヤヒヤしてんだ」

「んなチンケなことしねーわ。やるならもっと
本格的に血祭りだわ」

「今回の計画変更は俺のせいじゃねーからな。
八つ当たり以外の何物でもねーや」




隣に座っていたはずの総悟は、いつの間にやら
椅子ひとつ分ほど距離をとってやがるし。
何だそれは。何の意思表示だわけわからん。




(ーー計画が、・・パー)




目の前に広がるのは生姜焼き定食。
その先に広がるのは、計画が立たない恐怖だ。

副長コノヤローは早いうちに敵の居場所を
割り出すと言っていたが、それはいつだ。
早いうちとは、人の感覚ごとに違うだろう。
副長の早いうちとはいつまでのことだ何日間だ


ーーーと、そこまで考えたその時、
突然、・・パチン。乾いた音が鳴り響く。





「・・・・え」

「ありゃ、反応機関も鈍ってんのかィ。
こりゃ今日のうちに死ぬな」



どうやら音の正体は総悟が放った猫騙しだったらしい。そいつの目は呆れた色を浮かべていて



「ふざけんな。死なないもん」

「勢いが足りねェ。末期だな」
「どの口が言ってんだ万年無気力！」



パワー不足は総悟の方ではないか。
いつも気だるげにマイペースなのだ。
こいつこそ真逆にじゃないか。

私の方がフレッシュで力漲る若者だ。




「・・ほお、末期じゃねーってんなら、
小規模の討ち入りの計画が一度狂ったくれェ
屁でもねーだろうな」

「なっ、」



先に食べ終わったらしい総悟は、
お盆を手に、立ち上がる。





「ーーー土方コノヤローの非情シフトより、
テメェの立てる予定の方が0.5ミリくらいは
マシなんでィ。・・いつまでもふてくされて
ねェで、せいぜい社畜しやがれ」




既に混雑具合のピークをとっくに過ぎた食堂で
総悟の声が鮮明に響く。

気だるげで、芯のない声であることはいつもと
変わらないが、ーーどこか、柔らかくて。



それが、あいつらしくなかった衝撃のせいか
ーーーはたまた奴の言う通り、反応機関が鈍っているのかわからないが、返答がワンテンポ遅れてしまう。・・何だよ、0.5ミリって。






「・・・バカ総悟。誤差だろ、それ」




やっと紡いだ返答の一言を、
広い背中に投げかけた

ゆるゆる→←パーパーパー

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