【銀魂】常に10分前行動を心がけるべし

本意じゃない ページ20

ー沖田サイドー



「ーーで、」


何でテメェが乗ってやがる、とこちらに
睨みを向ける土方さん。

パトカーの中だってのにこんな凶悪ヅラが
乗ってるってんじゃ大衆も安心できねェだろう




「仕方ねーでしょ。
そこに隊車があったんだから」

「ふざけんな。山じゃねーんだよ」




どうやら、パトカーにて見廻りを行っていたらしい土方さん。タバコを買いに自販機へと
向かった隙に、助手席へと乗り込んでやった。

暖房完備の車の中では寒さなど感じず、
まあ強いて言うならば、土方の吐き出す煙が
邪魔だということ以外は快適である。





「つか、お前今日非番だろうが。
何でンな薄着で外ほっつき歩いてんだよ」




そして疑問はそこに向けられたようだった。

既に程よい暖かさにより眠気を催していた俺は
その疑問に答えることも億劫に思えてきており





「ちょいとAの予定を崩しに」

「・・・ハァ？」



簡潔極まりねェ答えには、さすがの鋭い
土方コノヤローにも伝わらなかったらしい。





「ちなみに結果としては成功でィ。
あいつの今日の予定を1分狂わせてきました」

「・・あぁ、そう」



挙句理解するのを放棄したらしい。死ね土方。
あわよくば今くわえてるタバコが突如爆発したりしねーだろうか。土方を吹き飛ばしては
くれねーだろうか。





「ーーーそういやお前ら、最近かなりの頻度で
一緒にいるよな」



「・・変な探りならごめんですよ」


「そんなんじゃねーよ」




ハンドルを握るそいつは、ふぅ、と一つ
静かに紫煙を吐き出した。閉め切った車内に
漂う白色は、やはり変わらず鬱陶しい。





「ありゃ俺だって本意じゃねーんです。あいつが勝手にスケジュール組んじまうんですから」

「ま、そりゃあ違ェねーな」



先ほども言った通り、確かに俺とあいつは
最近共に行動することが多かった。だがそれは
俺のサボりを察知したあいつの計らいである。
決して俺の希望じゃない。




「とはいえAのおかげでテメェのサボりが
減少してんだ。いいことじゃねーか」


「間抜けな土方さんじゃ見つけられなかった
絶好のサボり場も、今じゃ封鎖状態でさァ」

「誰が間抜けだ！」




テメェを封鎖してやろうか！、とか何とか
わけのわからない脅しを聞き流しながら、

いよいよ瞼が重力に負けて下へと落ち始めたのに従い、眠りに入ることにした。

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