【銀魂3z】眼福！

粋な計らい ページ7

「ーーで、」


何でこんなことになってんだ、と土方クン。
そんなの私にもわからない。




「しょうがないじゃん。総悟クンが、
"コーチは女なんですから一人で夜道は
あぶねーですよ"って言うんだから」

「それじゃあ俺が送ってる道理が
わからねェんだが」


「それも総悟クンが、"土方さんの家って
そっち方面ですよねィ。送ってくのにちょうど
いいじゃねーか"って言ったからでしょ」


「よし決めた。あいつ殺す」





つまるところ、先ほど正門をくぐった頃には
お月様が顔を出すほどの時間であって。

女である私を気遣った総悟クンによる粋な
計らいというやつである。



まあ、面倒なことはなるべく避けて生きる
というポリシーを持つ私にとっては、男と一緒に歩くという事態はあまりよろしくないが、
総悟クンの提案を断る方が面倒臭そうだった
ために了承したわけだ。

よって、隣の土方クンがある程度のダメージを
負ってしまっているのは、私の責任ではない





「ーーまあいい。・・ちょうど聞きてーことも
山ほどあるんだ」


「え、何。面倒臭そう」

「アンタと俺、今どっちが面倒なこと
やらされてると思ってんだコラ」





そろそろこたつが恋しくなる季節。当たり前だが夜中というのは昼間より一層冷える。

二人分の足音を響かせながら、話題もないし
質問に答えてやってもいいか、なんて考えに
思い至って。




「で？聞きたいことって？」



私から切り出したのだった。

すると彼は一度空中に目線を彷徨わせ、
悩むような動作を見せた。・・そして








「ーーーあんた、銀八の紹介でうちに来たんだよな。・・あのダメ教師とはどういう関係なんだ？懇意の仲なのか？」



ごくありふれた質問が落とされたのだった。






「単純に私は銀八の元教え子。てか懇意とか
やめてよ。やだよあんな面倒で糖尿病の天パ」




銀八は、私が銀魂高校に通っていた3年前に
担任だった先生だ。当時からやはりだらしなく
気だるいクソ野郎だったけれども。





「あの頃は女子剣道部もあってさ。あの男は
男女兼の顧問やってたわけ。・・いやー、
あんなだけど腕だけは確かだよね」

「・・認めたくはねーが、事実だな」

「あと筋肉」
「結局そこかよ」





当たり前さ、なんて力説する。

話す間に体も温まって、今度は逆に
少し心地いい風が私たちの足元を流れた。

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