それだけ ページ29
ー土方サイドー
「ありゃま、珍しいこともあるもんでィ」
Aコーチが狼狽えるなんざ、と。
総悟が続けた言葉に、同意を覚える。
まるで逃げ出すかのように武道場を後にした
あの女、ーーAのあんな顔を、
これまで見たことがあっただろうか。
少なくとも、俺たちの中にはいねーはずだ
(・・・ワケあり、か)
竹刀を持つことに対してか、ーーそれとも
人と対峙することに関してか
それは定かではないが、おそらく何かしら
触れられたくないものがあったのは間違いねェ
「らしくねェな、」
いつも呑気に、悩みの一つもなさそうに
笑っていて。・・その裏に、もし何かあるのだとすれば。
(ーーーいや、)
俺が考える義理なんざねーか。
俺はまだあいつをコーチだと認めた覚えはねーし、仲がいいわけでもねェ。これ以上深く関わりを持ってどうするってんだ。
「・・土方さん、」
「ッ、なんだよ」
「いや、休憩終わりですぜ。何ぼーっと
してんですかィ」
「あ、あぁ、悪りィ」
知らぬ間に過ぎていた10分間の休憩。
不覚にもあの女について掘り下げるような考察を組んでいた自分に驚きながら。
「ーーま、気になんなら調べてみるって手も
ありますよ」
「あ?」
「Aコーチのことでさァ」
「ッ、はあ!?誰がんなもん気にするか!」
どうだか、とか何とか呟いて怪しげな笑みを
口角に乗せたそいつは、どうやら今日は真面目に練習に戻るらしい。
「・・・ったく、」
ため息を吐き出しつつ立ち上がる。
傍に置いてある竹刀を握るのは、慣れたものだ
「ーーーやっぱ、らしくねェな」
あいつ、らしくねェ。
別にあの女についてよく知るわけでもないのに
やはり消えねェその勘ぐりは一体何か。
・・ただ、仮にも指導者であるあいつがあの調子では、せっかく伸び始めていた1年どもがダメになっちまいそうだから、・・それだけだ
124人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シュシュ☆☆(プロフ) - あいみさん» 遅くなりました!ありがとうございます!楽しんでいただけていれば光栄です! (2016年12月20日 7時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
あいみ - 完結お疲れ様です (2016年12月2日 6時) (レス) id: 65b8b3fd58 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!!!土方さん、安定のカッコよさ!!続編も楽しみにしてます!!応援してますぜ!!! (2016年11月21日 23時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - そして、剣道経験者の方もかなりいらっしゃるようで…もし「こんなこと剣道部ではしない」「こんなのありえない」等々ございましたら、ご指摘いただけると幸いでございます!宜しくお願い致します! (2016年11月19日 18時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 皆様、多くのコメント本当にありがとうございます!最近多忙でして、このようにまとめての返信になってしまい申し訳ございません!コメントには全て目を通させていただいております!ありがとうございます! (2016年11月19日 18時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シュシュ | 作者ホームページ:
作成日時:2016年11月7日 20時