【銀魂】ポリス×ポリス

法則がきかない ページ43

「ーー何だ？威勢よく一人で飛び込んできた
にしちゃあ、大したことねーな？」


「ッ、・・・っるさいなァ！」






ポタリ、ポタリ、と。ーー実際はそんな音は
しちゃいないが、比喩というやつである。

まあとにかく、そんな感じで座敷の床を
汚していく私の血液。



腕、足、横腹。

ーー致命傷は一つも負ってないとはいえ、
ズキズキ痛むそれは紛れもなく集中力を私から
奪っていく。






(ーーーあれ？これはもしや、・・ピンチ？)




ヒロインの法則が適応されない緊急事態だ。
こんなの聞いてないし。



肩で息をしつつ、痛みをこらえながら
敵の刃を交わしては斬って。ーーと、









「っ、・・うぁ」





足元が狂う。自分の血か、敵の血か。
ーーどちらにせよ、私の足をすくったのだ。

がくんと視線が落ち、
滑って転んだことに気づく









「ばかめが。・・奉行所風情に何ができる！」

「ッ、」





そんな好タイミング。
敵が見逃してくれるわけもない。


振り上げられた刀が、ーー頭上で怪しく光った









(ーーー・・あぁ、情けない)





いくら真選組がどうのとわめいていても、

・・結局をいえば、私が彼らに敵う実力を
もっちゃいないのだから、

ーーー張り合えるわけが、ないのだ。





一人で勝とうと奮起して、その結果こうして
から回って。・・ーー死ぬ。








(・・・ばっかだなぁ)






今頃になって自分にあきれ返る。



ーー"もういいや"

どうせ、もう避ける力もない、と。
私は身をその刃に委ねることとし、目を瞑った









．









「ーーーばかだな、お前ェ」





心中の罵倒が、音声となってはっきり
聞こえてきたのは、ーーそれから数秒後









「・・・え、」





カキン、とかザシュ、とか。
少年漫画よろしく奏でられる、刀の音。

目を開けた先にあった後ろ姿の主は、
華麗に、ーーしかし冷徹に、敵を斬り倒す。








(あ、れは_____ )




流れるような刀さばき。敵の動きを素早く
見越し、体制を整える頭の回転の速さ。



ーーーそして何より、・・私があんなに苦戦
していた大人数を、

呆気なく、いとも簡単に地に伏せる技量。




・・かくして、その正体は。









「・・ーーーーお、きた、？」






多分、だけど。

聞こえた気だるげな声と、揺れる綺麗な髪と
圧倒的な剣技が、・・私にそう確信をさせた

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