複雑なような ページ32
あの後は、普通にご飯を食べ終えて、
飲食店の前で、互いに進路を変えた。
ーーそして翌日がきて。
顔を洗って、タオルで拭く。
仕事前に洗面所で行った動作は、
今日もいつもと変わらない。
ーーのだけれど、
(・・・素材、)
ふと目に留めた鏡の中に、メガネを外した
自分の姿があって。
ーーー急激に浮かんでくるのは沖田の言葉。
「い、いやいや！からかわれただけだって」
・・いかんいかん。
うまいとこあいつの話にノるところだった。
こんなのにノッたら私イタイ奴じゃん
(あと、そうだ。・・呼び捨て)
ーーーー『んじゃあまた、A』
別れ際、まるで面白がるような声色で
そう告げたあの野郎を思い出す。
くそう。共に殺意まで思い出した。
「・・・ハァ、」
何というか、ーーー慣れない女扱いが急に
やってくると、かなり心臓に来る。
これもあいつの戦略なのだろうか。
一喜一憂している私を想像して、
今頃ほくそ笑んでるんだろうか
こうやって、物事に慣れてない私を
からかって遊んでるのか。
もしそうなんだとしたら、・・それにまんまと
引っかかってる自分が情けない。
「今まではずっと、仕事のことばっかり
考えてたのに」
この仕事が好きで、やりがいを感じていて。
だからこそ、年頃の女のようなことに
これっぽっちも興味がなかった。
ーーーなのに、・・今の私はどうだ！？
頭のどこに仕事のことがある？
一体今、何がある！？
『A』
と、脳内でリピートされる声。
濡れた髪から雫を落とし、怪しげに微笑む
あいつの姿。ーーってオイ！！
「・・・・・うぉぉおおおお！！」
うわ！沖田まみれ！最悪！
洗浄！要洗浄！カモン！
思わず洗面台のそばにしゃがみこむ。
「ーーー・・たった１度２度、女扱いされた
だけで、こんな」
てっきり、自分は女を捨てたのだと思っていた
けれど、・・まさか、そういう扱いをうけた
ことがなかったから気にならなかっただけで
(ーーー私って、・・実はまだ、女？)
嬉しいような、・・ーーー複雑、なような。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シュシュ☆☆(プロフ) - 雫井さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2016年10月1日 9時) (
レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫井(プロフ) - シュシュ☆☆さん» こちらこそありがとうございました！凄いわかりやすくて、とても参考になりました！！更新頑張って下さい！応援してます！！ (2016年9月30日 14時) (レス) id: 5cdce68500 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 雫井さん» いろいろ聞いていただけて嬉しいです！また何かあればご所望ください！ (2016年9月30日 8時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 雫井さん» 1話分は…そうですね。早い時は15分くらいですけど、じっくり考えなきゃならない細かい話や、シリアスな話には２０分〜３０分使うときもあります！ (2016年9月30日 8時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 雫井さん» メモ帳…も使わないです！行き当たりばったりなところがあるので、途中で変な設定加えて矛盾しちゃったり、ラストが最初考えてたのとは違うものになったり…何てよくあります。笑 (2016年9月30日 8時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シュシュ☆☆
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年9月23日 16時
