【銀魂】ポリス×ポリス

ギャップ ページ16

ー沖田サイドー



単に暇を持て余していたことと、嫌がらせの
意を込めて、こいつのエスコートを請け負い、
口での攻防戦を続けて少し。





数回しか絡んだことのない江角Aへの
印象といえば、真面目、仕事マゾ、熱血。
これくらいである。


そんな女が、ーー月が綺麗だと口走り。それが
限りなくミスマッチであることを感じとった
俺は、もちろんからかい倒すつもりでそいつを
見たのである。・・が、






(・・・ッ、)






一瞬見えた横顔が、俺の動揺を誘う。

江角Aとしても、自分の言動について
思うところがあったのか、即座にいつもの
つり眉毛に戻ってしまったわけであるが、

こちらとしては、その変化さえ、気にかける
余裕を失っていた。









「ーーーあぁ、綺麗かもな」

「・・は？」




そして、出てきたのが確信を伴わない肯定で
あったところをみると、相当に動揺していた
らしい。









(ーーーいっちょまえに、)




・・"女みてーなツラかましやがって"




おそらく齢は俺とあまり差はねェと思われる
その女のツラのことだ。


普段の全体的につり上げられた表情と違い、
月明かりに照らされ、少しの笑みを浮かべた
無防備なそれが、ーーやけに綺麗だったのだ。






・・いや、こいつは元々女だったか。

ーーそれを忘れさせる江角Aの雰囲気や
カリスマ性が、おそらくこいつを若くして
この地位に押しあげたのだろうが

・・しかしやはり、改めて性別を感じる一面を
見れば、そのギャップに驚きを抱く。







(・・、と、いけねェ)



そんな考えに、強制的にストップをかけ
俺はそいつから目を逸らし、







(・・・・綺麗ってのァ、月のことだ)




自らの口から飛び出した発言に、
そんな言い訳をつけて。

おそらく俺らしくもねェその肯定に疑問を
感じているのであろう女にもう一度、
視線をむけた。







「・・な、何？意外と月が、好き、とか？」

「テメェこそ、んな貧相な体つきで何言って
やがんでィ」

「今そこ関係あるのかな！？」





多分、動揺はうまくごまかせたようで。
いつのまにか止まっていた足を再び進めながら
俺は密かに安堵の息を吐いた。

らしくなさすぎ→←静かな肯定

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