無意味なその願い ページ35
寒く、薄暗い牢の並ぶ地下
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カツカツと響く、私と土方さんの足音
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「・・・なんで、私があそこに
いるってわかったの?」
「・・・お前、前に標的1人逃してるだろ
ま、逃がしたのはお前じゃねーか」
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それは多分、あの日銀さんに助けられたあの標的
・・・そっか。情報源はあそこか。
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「ま、情報を詳しく教えることはできねーが
他のわずかな情報をもとに
テメェを少しばかり見張らせてもらった」
「・・・やっぱり沖田さん
純粋に団子を食べにきてくれてたわけじゃなかったのね」
「・・・残念ながら、な」
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サボりながら仕事してる、って
つまりそういうことだったんだな
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「ほら、ここに入れ」
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大人しく声に従えば
容赦なく、後ろでがちゃりと鍵の閉まる音がした
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・・・ここが、犯罪者の末路
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「・・・あまり希望はもたねェことだ。
誰の命の重みも同じだと信じたいが
・・・一般人殺したことより、幕府の重鎮殺害が
大きく処分に響くだろう」
「・・・つまり、死ぬんですね」
「・・・そういうこったな」
.
一気に接近してきた"死"というものの重み
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「・・・もとより、私に希望などありはしないから」
「でも、わずかばかり持っちまったんだろ?
・・・たく、あの野郎も迷惑な奴だよなホント」
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「本当・・・
前はあんなにも死を望んでいたのに」
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死を望み、ただ生きてるだけの私に
・・・こんな、まともな感情を持たせたのは
まぎれもなくあの人で。
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「・・・あの人のせいで
今は死にたくなくなってしまった」
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あの人と、あの明るい世界で
もっとたくさんのことを学びたい、とか
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・・・もう叶わぬ、無意味な願いが胸を満たして。
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「・・・っ・・・」
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感極まって目の前をかすませて・・・
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「・・・わかってんだろーが。テメェが一番」
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テメェの運命の行く末を、
そんな土方さんの言葉
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・・・わかりたく、ない
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「ホンット、迷惑だわあの男・・・」
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ずっと、受け止めてきたこの運命が
今更になって
――――・・・少し、恨めしくなってしまった
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night - 言い表せないほど格好良かったです。ここまでの物を考えられるシュシュさんはきっと素晴らしい方なんだと思いました。最高です。素晴らしい物語を、ありがとうございました。(口下手ですみません) (2017年8月18日 22時) (レス) id: c9c76cd361 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 華桜さん» 本当ですか!?嬉しいです!最後まで読んでくださって、光栄です!ありがとうございました! (2016年7月24日 9時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
華桜 - 涙で前が見えないっ…!ラストで一人号泣してました。とても素晴らしいお話です! (2016年7月24日 0時) (レス) id: cc8f06af1c (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ(プロフ) - 月夜の銀の魂さん» コメントありがとうございます!読んでくださってすごく嬉しいです!楽しんでいただけていれば光栄です! (2016年6月18日 10時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の銀の魂 - とても面白かったです 最後は心臓バクバクでした。 絵もとても上手てうらやましいです (2016年6月18日 9時) (レス) id: 468a375fbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ | 作成日時:2014年9月20日 20時