この場所、あの人 ページ18
「・・・私、やっぱもう帰るわ」
「え!?来たばっかアル!」
「そうですよ。お茶くらい飲んでいってください」
.
・・・人と話すというのは、
いまいちわからない
ろくに会話なんかしたことがない私が
この者たちと上手く話せるかといわれれば
・・・おそらく不可能
.
.
「・・・仕事があるのよ」
.
「大丈夫ヨ!!
ちょっとぐらいさぼったらいいアル!」
「銀さん、どういう教育してるの?」
「断じて俺のせいじゃねェよ」
.
・・・そうやって、私に向けられるその笑顔も
.
「まあまあ、ゆっくりしていってください」
.
優しい言葉も
.
.
・・・私には、重すぎて。
それに答えられるものは、私にはないのに。
.
.
「なーに遠慮してんだテメェは。
こんな奴らに気ィ遣うくらいなら
道に落ちてる犬の糞に遣え」
「それどういう意味アルカ」
「お前がうんこと同類だってことだよ」
「死ね」
.
.
.
「・・・どーぞ。」
.
新八、と名乗る少年が差し出してくれたお茶は
私の目の前を湯気でくもらせる
.
.
「・・・どうも」
,
・・・やっぱり、出ない
"ありがとう"
.
「まったく、すいません
こんな騒がしくて」
.
いまだ下品で低レベルな言い争いを続ける
その二人をみて、新八は苦笑をもらした
.
「・・・いいんじゃないかしら。
楽しそうだし」
「Aさんは、楽しくないんですか?」
.
「私は・・・」
ごく自然に聞かれた質問は、私を惑わせる
.
.
「・・・Aさん
何があったのか僕らはわかりませんけど・・・
ここでよかったら
いつでも遊びにきてくださいね」
.
一度ニコリと笑いまた彼は、言葉を連ねる
「なぜかここ、人が集まるんですよ
・・・銀さんの周りに、って言ったほうが
正しいのかもしれませんけどね。
こんなバカ騒ぎしか見られないけど
僕も元気をもらうことがあるんです
だから・・・
いつでもお茶を淹れて待ってますよ」
.
.
.
・・・そんな言葉に、
私の目の前は、決して湯気なんかじゃない
別の何かで霞み
.
・・・震える手にもつ湯飲みの中で
お茶の湯気は、ふわりと揺れた
.
.
.
「――――・・・ありがとう」
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night - 言い表せないほど格好良かったです。ここまでの物を考えられるシュシュさんはきっと素晴らしい方なんだと思いました。最高です。素晴らしい物語を、ありがとうございました。(口下手ですみません) (2017年8月18日 22時) (レス) id: c9c76cd361 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 華桜さん» 本当ですか!?嬉しいです!最後まで読んでくださって、光栄です!ありがとうございました! (2016年7月24日 9時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
華桜 - 涙で前が見えないっ…!ラストで一人号泣してました。とても素晴らしいお話です! (2016年7月24日 0時) (レス) id: cc8f06af1c (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ(プロフ) - 月夜の銀の魂さん» コメントありがとうございます!読んでくださってすごく嬉しいです!楽しんでいただけていれば光栄です! (2016年6月18日 10時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の銀の魂 - とても面白かったです 最後は心臓バクバクでした。 絵もとても上手てうらやましいです (2016年6月18日 9時) (レス) id: 468a375fbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ | 作成日時:2014年9月20日 20時