【銀魂】＊ミニマム＊番外編

その日まで ページ44

あれから数ヶ月。

平和とは言えない江戸の町を一時離れたのは
私の意思だった。



穏やかな雰囲気の流れる空気の綺麗な田舎町。
私はその町の小さな定食屋で働いている。






「ッ、あわわわ！！やばい！これやばい！」
「何やってんだい全く！」




おかみさんに怒られるのはいつものことである

高々と積み上げられたお皿が揺れ踊り、今にも
床に落ちてデストロイしそうだ。






「ご、ごめんなさい・・」




何とか惨事を防いだ私は、一度汗を拭う。





「あんたって子は、・・もうちとしっかりやんな。待ち人のために、強くなりたいんだろ」

「は、はい」




口調はキツイけれど、優しく凛々しいおかみさんは、大きな手で私の頭を撫でまわし、
髪の毛を乱した。




まだ開店前ということもあり、店の中には、
私たちの声と、テレビの音声がこだまするのみ

おかみさんは休憩とばかりに椅子へ腰掛け
テレビを見ながら、湯のみの中身をすすった





「・・へェ、江戸の町も物騒だねェ。
派手に暴れてる連中が出てきたそうだよ」


「え？」





戦争が始まって、テレビも盛んに放送されるわけではなくなった。ーー今ちょうど画面へと
映し出されたのは、時たま映る江戸のニュース






「あんた、元々江戸にいたんだろ？ここらに
避難してきて正解だねこりゃ」






胸騒ぎ、というのだろうか。ーーいや、不吉な
ものではない。

・・・ただ、気持ちが騒ぐのだ








「戦争も、そろそろ終結に向かってるのかも
しれないね」





穏やかに言い切ったおかみさんの言葉の端を
掴みながら、テレビへ目を向ける。









「ッ、ーーーそう、かもしですね」






何が映ったわけでもない。

テレビの画面は、ただ崩壊した建物を
見せているだけだ。ーーけれども、なぜか








(きっと、・・皆さんも帰ってきたんだ)









そんな確信を持つことができた。









「ーーーおかみさん！今日は頑張ります！」

「何言ってんだいバカ娘！
いつも頑張らんかい！」






いつか、もう一度笑いあえるその日まで、
ーーーきっと、あと少し。

ずっと、→←未来※軽く本誌ネタバレです

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