【銀魂】＊ミニマム＊番外編

紅葉狩り※土方サイド多め ページ38

ー土方サイドー



それは、ーー珍しく早めに仕事を切り上げた
俺の部屋に、Aがやって来たある夜のこと

秋晴れと呼ぶにふさわしい青を広げていた空も
今は細々と星をちりばめていた。





「ーーー紅葉狩り、ですか」



そんな空を背景に、俺の口にはひどく
不釣り合いなその言葉を、そいつが繰り返した

少しばかりの歓喜を漂わせながら。




「あぁ、お前そういうの好きなんだろ」

「は、はい！それはもう！・・あの、でも」




その喜び方が、どこか遠慮がちであったのは
気のせいではないだろう。

眉で八の字を描き、俯きがちに言い淀んでいた
そいつが、まもなく「本当にいいんですか？」
と小さな声をあげた






「お仕事、とか」




ーーあぁ、やっぱりな。

想像はしていたが、本当にそう聞かれると内心
辛いモンがある。





「アホかテメェ。よくなかったら誘わねェ」




どっかに出かける。ーーいわゆるデートという
モンに行くだけで、気ィ使わせちまうなんざ
情けねーにも程がある





(ーーま、ンな気遣いさせちまうのも、大半は
俺の責任か)




夏祭り、盆休みと立て続けにこいつを
放りっぱなしにしてしまったのだから。
いつも仕事ばかりしてる野郎として、こいつの
目に写っていることだろう。

それに対する注意は何度か総悟の野郎や
近藤さんに受けていたし、俺自身もそれなりに
悪いと思っているわけだ。


埋め合わせになるかはわからねーが、ひとまず
スポットを調べてみた結果、

この季節、紅葉狩りの名所があることが
わかった



ひとつふかした紫煙を天井へと送りながら
「んで、」と話を元に戻す。






「・・行くのか、いかねーのか」
「え、あ！い、いきます！断固行きます！」






今度こそは、喜色を存分に浮かべ、
どこかに照れを紛らせたそいつは





「ーーありがとうございます！土方さん」




楽しみですね、と笑った。







「あぁ、ーーそうだな」





自分からデートなんざ計画して、
柄じゃねーにもほどがあるだろうが、

こいつのこんなツラが拝めるならたまにゃ
いいモンだな、と。


やはり柄じゃねーことを胸中に浮かべていた

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