【銀魂】先天性ブラックシンドローム

記憶喪失の原理 ページ7

トントン、と鼻歌交じりに食材を刻む。
料理なんて一体いつぶりだろうか。






「・・お前料理できるアルカ」

「当たり前じゃない。淑女たるもの料理くらい
できなければ」





今日はハンバーグにしようと思うの、と
一言かければ、先ほどまで敵意むき出しだった
その子が、一瞬目を輝かせた







「・・・お前、神楽の扱いわかってんな」


「あら、当たり前じゃない。淑女たるもの
少女の扱いくらい心得てなくてどうするの」

「いや淑女関係なくね」






やがてフライパンの上にのせた肉は
美味しそうな匂いで私の鼻腔をくすぐる







.









「ーーーさあできた。残した人は刻むからね」





・・・これぞ淑女。
久々だったけれどうまくできた。

机の上に四人分のそれを並べてみれば。








「・・・これ何」

「ハンバーグよ。それ以外の何にみえるの」
「それ以外の何かにしか見えねーんだけど」




苦笑いをしつつ皿を指差したそいつ

まさか貧乏すぎてハンバーグを
みたことがないというのかしら。

そうだとしたら哀れなものね。


とりあえず机に座って手を合わせれば、
ポツリと口を開いた少女、もとい神楽とやら









「・・・・ダークマターアル」




ダークマターとは、宇宙にある
真っ黒な物質のことではなかったか。

つまり、なんだ。






「・・・新八、お前もう一人生き別れの
姉貴とかいねェか」

「・・いないはずです。そう願いたいです」




なぜメガネ君の姉貴の話になるのか
まあそんなことは今はどうでもいいとして。


私のハンバーグをダークマターに例えたことに
ついて、だった。

改めてハンバーグに目をおとしてみて。
ふむ、確かに・・






「・・・・確かに少し焦げちゃったけれど
味には問題ないはずよ」

「いやあるだろォォォ！！これ食ったら
記憶飛ぶやつだよな！？何！？これ生み出せる
奴って人類にいっぱいいんの！？」

「記憶喪失の原理ってまさかこれアルカ」

「うるさいわね。さっきから何の話？
手足削ぐわよ」





人がせっかく作ったものをディスるなんて
どんな神経してるのかしらこいつら。






「まあ、今日は私がここに来た記念に
特別に作ってあげたのだからこれからは
こんなことしないの。つまり一品ものよ。
いっぱい食べてちょうだい。・・・それとも
捌かれたいのかしら」


「わ、わーい嬉しいなー」
「オイシソーアルー」

「・・よかった。一品もので」




喜んでくれて何より。

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