【銀魂】先天性ブラックシンドローム

震えを止める ページ32

「ーーーはああ！？貢がせてた！？」




無事に戻ってきた万事屋の中には、
新八君の仰天した声が
響き渡っていた。







「仕方ないじゃない。私、昔はそういう
アレだったんだから」

「さすがA。人間のクズアルナ」
「それほどでも」

「いや褒められてないですよ」





とにもかくにも、私を追っかけていた連中と
いうのは、いわば昔の恋人である。






「・・まさかあの男の他にもいたなんて。
同盟でも立ち上げたのかしらね」

「俺も入ろうかな」
「誰が貴方から金巻き上げたの」





きっと、あの男たちが私を連れて行こうと
したのも、お金を返して欲しいとかそういう
ことなんだろう。








「・・・でも、どうするんですか。
そいつら、また来るかもしれませんよ」




新八君の一言にピシリと凍りつく。

私が相手にしていた男たちというのは、
腕っ節の強いゴロツキばかり。



・・・襲われればひとたまりもないわけで。







「・・・そうね。自分でまいた種だとはいえ
捕まるのはごめんだわ。どうにか対策を
とらなければ」




じんわりとにじむ汗を掌に握りしめ、
冷静な言葉を発してみる。





一気に現実として波を起こす恐怖は
体に妙な緊張を走らせる






(・・参ったわ。意外と精神に来るのね)







殺されることはなかったとしても
とらわれた時どうなるのか。


金を返せといわれても、もちろん返すものなど
ないわけで。

そうなれば、・・・売り飛ばされてしまう、
なんてことも考えられなくはない、か。






.








「ーーーー・・仕方ねーな」


「・・・ッ、」






神楽ちゃんや新八君側のソファからは
見えないその位置で、小さく震えをきたして
いた手に、さりげなく、その人の掌が重なった






(ーーー私の心情なんて、バレてたわけね)







・・・大きいくせに冷たくて
暖かさを探すのは一苦労だけれど。







「ーーー俺がボディガードしてやろうか、
クソ淑女」




ニヤリと笑った銀時さんの憎たらしい顔は
なぜだか、私の震えを止めた。

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