【銀魂】先天性ブラックシンドローム

柄にもなく ページ26

「ふーん、じゃああいつのぶっ放した
バズーカに巻き込まれたってことか」

「そういうことになるわね」



いつもこの人が乗りこなすスクーターのはず
なのに、・・いつもよりもスピードが遅い。

これはたた単に彼の気分か、それとも・・・






「チクショー。そういうことなら慰謝料請求
しとくんだったな」


「・・あの男と知り合い？」
「違うな」
「親しそうだったじゃない」






先ほどの男の余裕めいた表情が
浮かんできて、一気に怒りが蘇る






「・・ほんっとにむかつく男だったわね」
「いででッ！？おいいい！爪食い込んでる！」

「ごめんなさいね、つい」
「ついじゃねーよ！！」





ニコリと穏やかに声を発したつもりだった
けれど、代わりに手には力が入っていたらしい

手を回していた銀時さんのお腹に爪を立てて
しまった







「それにしても、意外ね」

「あ？」


「私が貴方の家にお世話になっている身だから
と言って、あそこまで息を切らして来てくれるなんて」



心地よい風が髪をなびかせる中、
・・頬をその人の背中に預け、ぽつりと呟く



ほんのりと香る甘い匂いは、この人の甘党を
証明するような気がする。その中にかすかに混ざる汗の匂いは、・・自然と嫌なものでは
なかった。






「そんなに俺の行動が疑問かよ」

「当たり前でしょ。私なら捨て置くもの」
「お前の基準で考えるなドS女」




ため息をついたらしい。
肩の上下する様子が、頬を伝って感じられた









「ーーーま、何だ。・・・ようするに、お前は
世話が焼けるってことだよ」

「意味がわからない」




結局この人の本心というのは、人間観察を
得意とする私でも、探れない代物らしい







「・・・・・沖田君とはもう関わるなよ。
お前ら江戸消滅させかねねェから」

「それはできないわ。決着つけないと」

「あのなあ、S極とS極は対立する存在だろ。
だからおとなしくその法則に従ってりゃ
いいんだよ。アンダースタンド？」


「銀時さんはもう少し語彙力を養うべきね」
「ぶっ殺すぞ」




いつも通りの会話をしながらも、
何だか今日は、自分の心中が穏やかで。

この人の言葉や行動が、なぜか嬉しくて。




背中越しに感じる銀時さんの体温に
ーーー柄にもなく安心なんてものを感じたのだ

あり得ない→←同族嫌悪

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