故に私は君が嫌いだ！【文豪ストレイドッグス】

実に美味なる ページ5

「いやぁ吃驚したよ。真逆茶漬けを知らない子が居るだなんて。」
　




そんなに珍しいだろうか茶漬けを知らないのは。



否、恐らく前までの私で在れば知っている。記憶が飛んでからというもの目に映る凡てが物珍しいので仕方がないだろう。

然し、この茶漬けとやら、







『おいひい…』

涙が溢れ出る程に美味である。





美味い茶を吸ったぴかぴかと光る白米に、酸っぱい梅干しと噛めば噛むほど肉汁が溢れ出る鶏肉。添えられている海苔もこれ又格別に美味いのだ。



今までこんなもの食べたことがない！！！



…有るのかもしれないが。
　


因みに食材各種の名前は敦くんに教わった。
茶漬けを知らないと告げた時の敦くんの顔はまるでこの世でないナニカを見るかのようだった。全く酷いものだ。



『むぐ、むぐむぐ…むぐ！』



「御免ね何云ってるのか全く判らない」




「おい太宰、早く仕事に戻るぞ。
仕事中に突然「良い川だね」とか云いながら飛び込む奴がいるか！おかげで見ろ予定が大幅に遅れてしまった。」




「国木田君は予定表が好きだねぇ」




「これは予定表ではない!!理想だ!!我が人生の道標だ。それにこれには「仕事の相方がジサツ嗜好」だとは書いていない!!」



余程理想に焦がれた御人なのだろう国木田殿は。




理想に焦がれるのは善い。常に前を向き続けられる。




私の知りうる記憶の中で、断片的に遺っていた誰かの言葉だ。

　


誰の言葉なのだろう。今となっては其の人すら思い出せないのだから、全く以て捜し様も無い。

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