そういう関係 4 -江口拓也-

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江「Aはそう思ってるかもしんないけど、俺はAの言ったこと変に捉えて勝手にイライラしたから

切羽詰まってたのかもしんないし、寝ないでまた倒れたらって考えたら、ヤバイって思って」



子供みたいだった。なんて申し訳なさそうに小さい声でいう彼に、違うってそういうしか無かった



「私が誤解されるような言い方したのが悪いんだってッ！！

でも本当にどっちも本気でやってるんだよ……！」

江「分かってる。分かってるのにあんなこと言った
ほんとごめん

Aがそんなこと言うわけないし、手抜いたりなんかしてないのは俺が1番分かってたはずなのに」



気付けば家に着いていて、駐車場にも入っていた

車は止まっているのに、私たちは動こうとはしなくて、未だ顔を合わせることなく話していた




江「もうやめよ、喧嘩
仲直り、どっちも悪かったってことじゃん

締切迫ってて、約束破ろうとしてAも
切羽詰まって変な受け取り方した俺も悪かった

仲直りしよ」



そういって、彼はいつものように私の手を握った

仲直りの合図は手を握ること
夫婦になっても、それは変わらないのか


拓也の言う通り、お互い悪かったのかもしれない
いつまでも、私が、いや俺が。なんて言い続けていたら終わりなんてやってこない


それは初めての喧嘩で学んだこと




「うん………ごめんなさい」




そういって、弱く握り返すと彼は笑って、帰ろ。お酒あるよ。なんて言って



江「俺優しいから、良いウォッカ買ってきた」

「嬉しいけど、自分で優しいっていうあたりムカつく」

江「仲直りしたばっかなんだから、ムカつくとか言わなーい！」



パッと離された手に、名残惜しい気持ちが溢れるも、大人しく車を降りる

すると、彼は当たり前のように私の方へ回ってきて、さっきまで繋いでいた手と逆の左手を掬いとって、強く握りしめてきた



「なに、珍しい」

江「なんでも？

おかえり」

「その顔ムカつく

ただいま」

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