こじらせ女子のオトナ社内恋愛

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黙ったまま見つめ合うテヒョナと俺。




互いに立ったままで同じ目線なそれに身長も差ほど変わらないぐらい俺らは大人になった。









　

｢……んっ……｣









　

俺の腕の中で眠るAは熱がピークなのか、汗ばみ僅かに身を捩って。無意識なのか俺のYシャツを握るような仕草を見せてまた俺を揺さぶる。
……本当にキミは酷い女性だと思った。









　
　
　
TH｢……俺がちゃんと送るからヒョンは残った仕事をやってよ。
最後まで俺に介抱させて。｣




｢……やだ。｣




TH｢……は？｣




｢…はは！じゃあ俺このまま上がるから戸締まりはしっかりね？｣









　
　
昔からやんちゃで派手で人気者で人の輪の中心にいるのがテヒョナ。
世渡り上手で人の懐に入るのがうまくて人懐っこくて可愛くて……弟みたいな幼なじみ。




悪いけど、俺は優しい兄には今さら戻れない。
……お前だよ。テヒョナが生真面目だった俺を焚き付けたんだ。ユンギはユンギで昔からの付き合いでAに関してはそれにも最近は考える事ばかりだけど今俺を煽ったのは可愛いはすだったテヒョナなんだ。





今朝はなかったはずのAの首筋に色づく花弁がさっきから目障りで。
誰もいないオフィスで二人、重ねていた口づけは頭から離れてくれないし。







先輩と後輩、上司と部下、なんて肩書きや会社の風紀や体裁。考えることは沢山あるけれど百聞は一見に如かずっていうからさ。





Aに向き合わずに、話も聞かずに突き放した俺はたぶん間違っていた。
メールじゃなくて文章じゃなくてキミからちゃんとした言葉でそれが聞けたならきっとこんなに俺は、俺たちは……こじれなかった。







噂に惑わされキミの纏うミステリアスな全てに惑わされこじれた関係は自分で確かめて修復しなきゃ。






明日、俺の部屋でキミが目を覚ましたなら。
全部を暴いて一気に距離を縮めて……ハダカにしてやりたい。





テヒョナもユンギもキミとどんな関係かは知らないけれど。
ここ最近どうにも俺は出遅れてる感が否めないしそろそろ自分の気持ちにも気づきたいから。







腕の中で眠るAを抱き上げたまま社内で誰にもすれ違わないまま外に出てタクシーを捕まえて。






　
……ごめんね、テヒョナ。
責任もって送る、なんて言っといてタクシーの運転手に告げた行き先は俺の部屋。







明日が土曜日で良かった、と口端を上げた俺はだいぶ悪い大人だね。









　

　

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