俺とヒミツの恋、しよ？

just　one　day　5 ページ30

頭を優しく撫でてくれたその手も私を可愛いって微笑んで。
さらりと言ってくれたそれも嬉しくて舞い上がってしまうのに、何だか苦しくて。



胸の高鳴りだってまだ収まらないのにそれと同時にぎゅうーっと締め付けられる。







……Aは変わってないなー。









たぶん、これ。







少しは大きくなったね、大人になったね、とか欲を言うなら綺麗になったね、とか言ってくれたらな、なんて。
……期待しすぎてたのかな。



小学生から高校生になるってだいぶ成長したはずなのに。
あなたの目に映る私はなんにも変わってないのかな。






　
　
ホントはあの頃みたいに金魚のフンみたいに飼い犬みたいに。
オッパから離れないでそばにいたいけど、何だか久しぶり過ぎて距離感が掴めない。



お兄ちゃんとオッパはお酒を飲みながら互いの近況やら、たまに私を含めた思い出話を交えて楽しそうに会話するけど。
私も楽しいはずなんだけど……どこか無理して笑ってる自分がいる。





……ほら、私……やっぱり少しは成長、したんだよ。




　
だってひたすらにあの頃は自分のわがままや気持ちを押し通すように行動してたのに、今は沢山沢山考えちゃう。








……あぁ、なんか苦しい。









　






　


　
　

私の知らない話題に変わったタイミングで明日小テストがあるから、なんて逃げるように一旦自室に飛び込んで。



何も考えずに好き好き言ってたあの頃に戻りたい、なんて大人になりたがってたはずなのに矛盾しだらけな思考回路に嫌気がさす。



お土産、なんて沢山もらったお菓子に目を向けても、これを私に選んだ時点でオッパにとって私はお子様で妹みたいな存在だなんてわかりきってて。




……はぁ。お風呂にでも入ってこようかな。





考えればどんどんマイナス思考になるのは私の悪い癖。
切り替えよう、と渇をいれて静かにリビングへと歩いた。









　

　





　

　
YG｢…………あいつは俺と違って頭はいいから。
どーだった？久しぶりに会ったうちの妹は｣









　


　


リビングのドアに手をかけようとした時に聞こえたお兄ちゃんの声。
飲み始めた時の盛り上がりはもうなくて静かな会話が私の耳に入って思わずピタリとカラダが静止して。





……うそ、私のことを……話してるの？








どくんっ、とまた心臓が鳴って。









ドアノブに掛けた手を反射的に私は離した。









　
　



　

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