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太一も男の子なんだと感じた日から数日。







私たち3年にとって高校最後のクラスマッチが行われていた。


(今のところ我らが1組女子は順調に勝ち進んでいる。)






1試合終えて、ジュースでも飲もうかと

自販機のところに来ると2年生の男の子の集団がいた。






ちょうど何かしらの競技を終えたあとらしく、

タオルで汗を拭いたり、ジュースを頬に当てたり、

手で顔を扇いでいる子もいる。







そして、その中には、


胸元に『川西』と書かれた体操服を緩く着ている彼の姿もあった。







わっ、うわわっ、体操服姿の太一だぁ…っ!!







久々に見るその姿に感動していると、

ぐいっと太一が体操服の裾で汗を拭った。






ちらり、と見える薄らとついた腹筋と細い腰。








「…!?」







ぎゃーーっ、サービスショット!!

なんて幸運!なんて絶景!くっ、またしてもカメラがない!!





鼻息を荒らげつつ建物の影からガン見していると太一と目が合った。









「…………」








あ、口尖らせてる。

きっとあれは不愉快なときの顔だな…








ものすごくイヤそうな顔をしたかと思うと、

「先いってて」と周りの子たちに声をかけて、こちらへ来た。






まるで推しのアイドルが寄ってきたかのように

心の中の私が黄色い悲鳴を上げる。







…なんだかんだ、

私に構ってくれる太一は優しいと思う。







「なに見てんですか、えっち」


「うん、ごめんね!」


「腹ガン見しながら謝らんでください」


「うん、ついうっかり!」


「うっかり、ねえ」


「できれば、もう1回腹筋みせてほし…」


「ぜーーったい嫌です」









どすっ、と頭頂部にチョップが落とされる。


痛い!ひどい…!太一のケチんぼ!









「いいもん。いつか見るし」


「頑張れ〜。まあ見せませんけど」


「………意地でも見てやる」







挑発的に笑われながらも自販機にお金を入れて

ピッとお目当てのジュースを購入する。








「太一は?どれか買うの?」


「あ、奢ってくれるんですか。あざっす」


「しょうがないな、って誰が奢るか」


「あははっ」









私のノリツッコミに対して珍しく子供っぽい笑顔を見せる太一。





突然のその笑顔にドキッとしたとき、

背後から「あ、川西だあ!」と女の子の声がした。

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作者名:nome. | 作成日時:2017年2月12日 0時

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