どうですか俺と【川西太一】 (ページ25)

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｢そういえば…、なんで私の連絡先知ってるの？｣

素朴な疑問。

太一は一体、どんな経路で私の連絡先を知ったのだろう？

『瀬見さんです』

「……は？｣

『瀬見さんが教えてくれました』

「うそぉ！？｣

返ってきた答えは予想外のものだった。

えええ、ちょっと待ってよ！！

私があんなに頼んでも教えてくれなかったじゃんか！！

なのにどうして太一には教えるんだあの男は！！！！

脳裏に現れる、あの整った顔に怒りが込み上げてくる。

『俺がAさんの連絡先ほしいって言ったんです』

「えっ？｣

『Aさんも欲しかったんでしょ？』

聞きましたよ、と愉しげに言ってくる。

その言葉に先程込み上げたミンミンへの怒りが、
風船が萎むように勢いよく収まった。

「うん、…すっごく欲しかった｣

『素直かよ』

へへっと照れ笑いをしていると、

機械の向こうで『太一、風呂空いたってよ〜』と男の子の声。

そしてすぐに『あー了解。あとで行くわ』とそれに返事する太一の声が聞こえた。

バレー部のほとんどが寮生活っていうのは聞いていたけど、

普段こうやって生活してるんだなあ。

今まで学校での太一しか知らなかったから、なんか新鮮。

『聞こえた？』

「うん聞こえた。お風呂入っておいで太一｣

『ん、行ってきます』

私もそろそろ髪乾かさないと。

と正座の姿勢から、ゆっくりとその場に立ち上がる。

『また電話しますね』

「疲れてるのにありがとね太一｣

『…いや、別に、』

徐々に小さくなっていく声。

『……俺がしたかっただけなんで』

ぼそっと控えめな声で囁かれた言葉に目を大きく見開く。

『じゃあ、また。おやすみなさい』

「う、うん、おやすみなさい？｣

通話を切って無音になったスマホをじっと見つめる。

｢〜〜〜っっ！！！｣

終わった途端に色々な感情が込み上げてきて

濡れた髪のままでその場にうずくまった。

電話って、やっっばいな。

たった数分だったけどすごく満たされた気分だった。

太一と初電話した、その２日後。

私はついに試験日当日を迎えるのだった。