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その日の夜。
お風呂を済ませて部屋に戻り、充電していたスマホを見ると、
「…ん?」
未登録の番号から着信が1件来ていた。
しかも、ちょうど2分前にかかってきてる。
誰か登録し忘れた人いたかな……??
画面上に並んだ11の数字を見つめていると、
ポコンッと画面の上の方にメッセージが表示された。
【お疲れ様でーす、川西です。】
【電話かけたのも俺です】
「は、えっ、太一!?」
"たいち"と表示された名前とともに送られてきた文章を見て、
驚きのあまり勢いよくスマホを床に落とした。
髪も乾かさないままにスマホを拾い上げてメッセージアプリを開く。
太一を追加して慌てて文章を打ち込んでいく。
「あっ、間違えた。ああっ、送信しちゃった!違う違う!」
慌てすぎて『お疲れさま』と打ち込むつもりが
『おちか』と誤って打ち込んだまま送信してしまった。
メッセージを取り消すべき!?
いや、まずは『間違えた』と一言送る??
ああっ。どうしよう!どうすればいいんだ!?
何からすればいいのか分からず、あわあわと焦っていると、
パッと画面が切り替わって再び太一の電話番号が表示された。
こ、この電話の向こうには、太一が……!!!!
そう思うと心音が激しくなって手元の感覚が遠のくような感じがした。
「……ふぅ、」
軽く深呼吸をして画面を指先でスワイプする。
震える声で「もしもし…?」と恐る恐る電話に出た。
『あっどうも。Aさん』
少し笑いを含んでいるような太一の声がした。
その声に胸がきゅうっとなって、
なんだか立っていられなくなり、
無意識にその場に姿勢を整えて正座する。
「うん。…お疲れさま太一」
『っす。というか、"おちか"ってなんすか』
っくく、と太一が笑いを堪えながら聞いてくる。
うう、やっぱり突っ込んでくるよね。
お恥ずかしい。
「お疲れさまって送るつもりが間違えちゃって」
『あ、やっぱり。だと思った』
「分かってるなら聞かないでよ」
『ははっ』
顔は見えてないけど太一はいま目を細めて笑っているんだろうなって思った。
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作者名:nome. | 作成日時:2017年2月12日 0時