小人の彼女 2

意味　SC ページ32

VN｢ヒョン、帰るんですか？｣

SC｢あ、ああ。家で仕事するよ｣

VN｢そうですか。お疲れ様です｣


罪悪感をもて余しながらとぼとぼと帰り道を

歩く。


SC｢はあ…｣


真剣な弟たちの表情がちらつく。




いつか、置いていかれる気がするんだ。




こんな、一番歳上って理由だけでリーダーに

なって、大した実力もなければ統率力もない

俺。自己プロデュースが売りのグループの

リーダーなのに、グループを作ってるのは

あの二人をはじめとするハイスペックな弟達。

少しでも皆の負担を減らしてやりたい、

皆の夢を叶えてやりたい、考えているのは

それだけなのに、グループの名前を背負うには

頼りないことが多くて。


ジスのことも、元々は俺が私情をジスと

ジョンハンに紹介したことが始まりだ。

ジョンハンと元恋人が会っていたことも

気付かずに、結局グループを守ったのは

ジフンとAさんで、俺は最後まで無力

だった。



ああ、本当に。

なんで俺が最年長だったんだろう。



そんなもやもやとした心情じゃ仕事なんて

進むはずもなく、思わず年下のAさんに

弱音をはいてしまった。情けない。


しかし彼女は大して表情を変えず、ゲームを

しようと言ってきた。面食らったが、俺を

思いやった提案に泣きそうになったのは

言うまでもない。



笑いあった後、Aさんは俺の隣に

座り込み、ぽつりと言った。


『疑問に思ってたんです。メンバーの方々には

リーダーという頼る人がいるじゃないですか、

でもスンチョルさんは、誰を頼れるん

だろうって』

SC｢別に俺はそんなに、頼りがいが

あるわけでは｣

『んー…頼りがいがあるかないかは置いといて、

頼れる人がいる、それだけでだいぶ心強いと

思いますよ』



俺がいる意味を、彼女は淡々と口にした。



SC｢でも、｣

『そんなに気負わなくたって良いと思います、

少なくとも私は』

SC｢…そっか。なんか、ありがとな｣

『いえ。分かったような口きいてすみません

でした』

SC｢そんな寂しいこと言わんでよろしい｣


優しく彼女の頭を撫でると、Aさんは

少しだけ頬を緩めた。



この子の頑なさも少しは和らいだようだ。

以前であればこの手は払われていただろう。


やっぱりジフンのお陰なのかな。あいつなりに

頑張っているんだろう。弟の恋を、純粋に

応援したくなった。

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