小人の彼女 2

演技 ページ25

MH｢ヌナ、日本語聞いてくれない？｣


ミンハオさんがそう声をかけてきたのは、

まだ一人二人しか宿舎にいない夕方のこと

だった。

もう彼に敬語を強いるのは諦めている。


『良いですよ』


ミンハオさんはぎこちなく笑ってソファを

ぽんぽんと叩いた。座れということだろうか。


MH｢座ってよ｣

『あ、はい』


今日のミンハオさん、なんか声に元気ないな。

どうしたんだろう。


『大丈夫ですか？』

MH｢…ナニデスカ？｣


おお、やっぱり可愛い喋り方。


MH｢Aヌナ、｣

『"はい"』

MH｢イツモアリガトウ｣

『"こちらこそ"』


あ、通じてないな。韓国語で言い直そうと

したらミンハオさんは手で制した。


MH｢トテモカンシャ…シテマス？｣

『"うん…ありがとう"』


真面目な表情で一生懸命日本語を紡ぐ彼が

微笑ましい。


MH｢あ〜えっと…

デアッテクレテ、アリガトウ｣

『"私も、ありがとう"』


ミンハオさんはうんうん頷いて静かに笑った。


MH｢ボクワ…ヌナガスキデス｣

『え？』




僕は、ヌナが、好きです？



MH｢ヌナハヒョンスキデス…デスケド、ボクワ

ヌナ、スキデス｣

『え、ちょっと、どういうこと？

どういうことですか？』


突然腕を引っ張られ、視界が暗くなった。


『み、ミンハオさん！？』


抱き締められている。認識に時間は

かからなかったが、体が動く前に離された。


MH｢タノシカタデス、トテモ、アリガトウ｣

『は…？ねえミンハオさん、ちょっと、』


心臓がバクバク音を立てている。

彼はこれまでに見たどんな表情よりも優しい

顔をしていた。調子が狂う。


『韓国語…韓国語話して下さいよ、ちゃんと

説明して下さい…』


私が、好きなの？ミンハオさんが？



MH｢説明…？｣


ミンハオさんから聞き慣れた韓国語が飛び出し

肩の力が抜けた。さっきから顔が熱い。


MH｢うーん…俺、日本語上手でしょ？｣


ふっ、と人を小馬鹿にしたような笑い方。

私が何か言うとすぐそうやって…


『ま、まさか、』

MH｢もしかして信じてたの？

わ、俺役者の才能あるかも｣

『しっ、信じらんない…！！！！！！！』



もう絶対日本語見てやらないからな、

シュウミンハオ！！！！！！

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