30.釣り合ってから ページ31
「岩ちゃんお昼食べよ!」
ある日の昼休み。
及川がちょっと話したいことがある、と緑が広がる静かな校舎裏で貴重な45分を過ごすことにした。
その場で腰掛け、早く終わらせようと用件を聞き出す。
「んで?なんだ話って?」
「あのね、俺…“いった”よ。」
いったよ、とは、何を言ったのか。
「“告った”よ、Aちゃんに。」
「……え?」
秋特有の渇いた風が、ザワザワと吹く。
俺の心を表すかのように。
それで、どうなった?
その先が気になるのに、なぜか迷いが生じた。
まるで、聞きたくない、聞いてしまったら…と答えを恐がっているような。
「それでね、」
心臓が跳ねる。
河合と一緒にいるときよりもはるかに大きく。
おかしいな。普段ならこんなに取り乱すことなどないのに。
ゴクリ、と息を呑む。
「……振られちゃったよ。」
「……え?」
コイツといる時は本当に同じような反応しかできない。
てっきり「付き合いました〜、岩ちゃん嫉妬しないでね☆」とか言うのかと。
「大会前に言うのも気が引けたんだけどさ、」
じゃあ言うなよ。びびったじゃねぇか。
「岩ちゃんには言っといた方がいいと思って。」
及川はいつの日か独り言を呟いた時の顔をして、
じっとどこか一点を見つめていた。
だからなんなんだよ、その顔。
「その言葉の意味、わかんねぇんだけど。」
お前は今、何を考えているんだ?
「そのままだってば。
岩ちゃん早く告ったほうがいいと思うよ。」
いつものヘラヘラした顔に戻った。
本当かよ。
本心を見いだせない及川にイラつきながら答える。
「ンなこと…できたらとっくにしてるっての。」
今の俺じゃアイツに釣り合ってねぇから、
まずやる事やってからにしようと思う。
部活も、勉強も、その他いろいろ
アイツが俺の全てにハマるような、そんな奴になってやる。
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yuiki(プロフ) - 紫蘇さん» ありがとうございます!男の子視点だったので感情移入しやすい作品を作りたかったので! (2020年1月12日 21時) (レス) id: ecc4c0e98e (このIDを非表示/違反報告)
紫蘇 - 泣きました、めっちゃ良かったです(T−T) (2020年1月12日 21時) (レス) id: 7a199b70b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yuiki | 作成日時:2019年7月16日 10時