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25.言ってしまえば ページ26

及川side





『まずは絶叫系からかな!』



「攻めるね…」





岩ちゃんより先にAちゃんとデート出来ることになった俺。


なんだかんだ女の子と二人きりで遊ぶことってのはなかなか無かったので、ベタな遊園地に場所を決めた。





『遊び尽くそうね!!』





無邪気な笑顔にさえも心を奪われる。


あぁ、今すぐにでもこの手の中にしまっちゃいたい。


そのくらい、俺は本気になってた。









『もうラストかぁ…』



「うん、電車の時間的にもこれで終わりかな。」





とても名残惜しい。


最初で最後になるであろうデートなのだから、

こーゆー時くらい意識させてみてもいいのでは?


てなことを考えるけれど、俺には手を出す勇気なんて無かった。





『やっぱ景色のいい観覧車だよね!』



「俺もそう思うよ。」





ただ…


この気持ちだけは伝えていいんじゃないかと思った。





二人きりの静かな空間。もう少しで1番上に到達してしまう。





「Aちゃん、あのさ。」



『ん?なに?及川くん。』





名前も呼んでもらえない。


人に壁を作るこの子が、この前岩ちゃんだけは名前で呼んでた。





やっぱかないっこないよなぁ。





「好きだよ。」





『…え?』





心を込めて。情けないけど、今の俺にはこれが精一杯。





「俺、余裕ないんだ。

ねぇ…俺を好きになってはくれないの?」





それはもう、ほぼ諦めていた言葉だった。


岩ちゃんになんてかなうはずがないんだ。





俺が岩ちゃんだったら、好きになってくれてたのかな。


いや…無理か。岩ちゃんが好きなんだもんね。





『……よ。』



「ん?」





今にも泣きだしそうな顔で声を絞り出すAちゃん。





『私も及川くんのこと、大好きだよ。

…でも、そーゆーのじゃ、ない。』





優しいからフォローまで入れてくれたのか。





「ん、わかってる。わかってるよ。

ちゃんと言ってくれてありがとう。」





そこからはお互い俯いて、この時間の終わりが来るまで一言も交わさなかった。





家に帰ってからの記憶はもう無い。


起きたら清々しい朝だった。

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yuiki(プロフ) - 紫蘇さん» ありがとうございます!男の子視点だったので感情移入しやすい作品を作りたかったので! (2020年1月12日 21時) (レス) id: ecc4c0e98e (このIDを非表示/違反報告)
紫蘇 - 泣きました、めっちゃ良かったです(T−T) (2020年1月12日 21時) (レス) id: 7a199b70b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:yuiki | 作成日時:2019年7月16日 10時

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